梅は、まだ寒い1月から3月にかけて花を咲かせる樹です。小さな鉢でも、古びた幹に花が並ぶ姿は見ごたえがあり、春を告げる盆栽として長く親しまれてきました。

梅を毎年咲かせるうえで大切なのは、花が終わった直後の手入れと、夏の管理です。梅の花は、前の年の夏に伸びた枝に準備されます。つまり、今年の花が終わった時点から、翌年の花の準備が始まっています。

梅の盆栽の特徴

盆栽に使われる梅には、白、薄紅、紅のほか、一重咲きと八重咲き、枝が垂れる枝垂れ梅など多くの品種があります。品種によって咲く時期にも幅があり、早いものは1月から、遅いものは3月に入ってから咲きます。

梅は寒さに当たることで花芽が目覚める樹です。冬の間ずっと暖かい室内に置くと、花がそろわなかったり、咲いてもすぐに散ったりします。花の時期以外は屋外で育てるのが基本です。

なお「長寿梅」は名前に梅とつきますが、ボケの仲間で、梅とは別の樹です。育て方は長寿梅の盆栽入門で紹介しています。

名前・樹形図鑑「紅梅・白梅」とは梅を花の色で呼び分けた言葉で、品種名ではありません。紅色から淡い紅色の花を紅梅、白い花を白梅と呼びます。 ›

置き場所

春から秋は、日当たりと風通しのよい屋外の棚に置きます。日によく当てると枝が締まり、夏の花芽もつきやすくなります。

真夏は、西日が強く当たる場所や照り返しの強い場所を避けます。葉が焼けて落ちると、花芽を育てる力が弱まります。

冬は屋外で寒さに当てます。つぼみが膨らんできたら、霜や冷たい北風の当たらない軒下へ移すと、花が傷みにくくなります。

花を室内で楽しむとき

花が咲き始めたら、室内に飾って楽しめます。暖房の効いた部屋では花が早く開いて早く散るので、玄関など涼しい場所が向いています。暖房やエアコンの風が当たる場所は避けてください。

室内では鉢土が乾きやすくなります。毎日土の様子を見て、乾いていたら水を与えます。飾るのは数日から1週間ほどにとどめ、日中は屋外に出してあげると樹の負担が少なくなります。

水やり

梅は水を好む樹です。土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。春と秋は1日1回、夏は朝夕の2回が目安で、冬も乾いていれば晴れた日の午前中に与えます。

特に気をつけたいのは、花芽がつくられる7〜8月です。この時期に水切れさせて葉を傷めると、翌年の花が少なくなります。乾き具合の見分け方は、こちらで詳しく説明しています。

あわせて読みたい盆栽の水やり|乾いたかの見分け方と、季節ごとの回数・時間帯の目安記事を読む ›

注意

冬の開花中も、根は水を吸っています。花が咲いている間に水切れさせると、花が早くしおれてしまいます。冬だからと水やりを忘れないようにしてください。

肥料

肥料は、花が終わって新しい葉が出始めた4月ごろから6月までと、9月〜10月に、ゆっくり効く固形の肥料を鉢の縁に置きます。花の後に与える肥料は、花を咲かせて弱った樹を回復させるためのものです。

真夏と冬は与えません。窒素分の多い肥料を与えすぎると、葉や枝ばかり伸びて花芽がつきにくくなることがあります。肥料の種類と使い分けは盆栽の肥料の入門にまとめています。

花後の剪定(2月下旬〜3月)

花が終わったら、なるべく早く剪定します。咲き終わった花がらを摘み取り、花が咲いた枝を、元から数えて2〜3つ目の芽の上で切ります。

梅の花後の剪定。花が終わった枝は元から2〜3つの芽を残して切り、花がらも摘む。春から夏に伸びた枝に花芽ができるので、7月以降は強く切らない
図:花が終わった枝は2〜3芽を残して切ります

  1. 花がらを指先やピンセットで摘み取る
  2. 花が咲いた枝を、元から2〜3芽残して切る
  3. 混み合った枝、内側に向かう枝、枯れた枝を元から切る
  4. 太い枝を切った跡には癒合剤を塗る

切った後に伸びる新しい枝に、夏の間に翌年の花芽ができます。剪定が遅れて5月以降になると、新しい枝が十分に伸びず、花芽がつく枝が少なくなります。

春〜夏の枝の整理(5〜6月)

春に伸びた枝のうち、樹の形から大きく飛び出す勢いの強い枝は、5〜6月に軽く切り戻します。7月に入ると花芽の準備が始まるので、それ以降は強く切らないようにします。

植え替え

植え替えは、花後の剪定と同じ2月下旬〜3月ごろが適期です。小さな鉢は1〜2年に1回、中くらいの鉢は2〜3年に1回が目安です。鉢底から根が出ている、水の染み込みが悪いといった様子が見えたら時期です。

古い土を3分の1ほど落とし、傷んだ根や長すぎる根を切ってから、小粒の赤玉土を主体にした水はけのよい土で植えます。植え替え後の2週間ほどは、風の当たらない明るい日陰で管理します。手順は植え替えのガイドで詳しく説明しています。

花芽と葉芽を見分ける

夏の終わりから秋になると、枝に翌年の芽がはっきり見えてきます。丸くふっくらしているのが花芽、小さく先がとがっているのが葉芽です。

梅の花芽と葉芽の見分け方。花芽は丸くふっくらして節に1〜2個つく。葉芽は小さく先がとがり、春に枝や葉になる
図:丸い芽が花芽、とがった芽が葉芽です

秋から冬に枝を整理するときは、花芽を確かめてから、花芽のない長い枝や形を乱す枝だけを軽く切ります。花芽のついた枝を切ると、その分の花は咲きません。

早春の梅。白い舎利の残る幹から伸びた枝に、紅色のつぼみが並んでいる
写真:nycbone / CC BY 2.0

一年の作業カレンダー

関東の平地を想定した目安です。開花の時期は品種と地域によって変わります。

梅の盆栽の年間作業カレンダー。開花は1〜3月、花後の剪定と植え替えは2月下旬〜3月、枝の整理は5〜6月に軽く、花芽ができるのは7〜8月、肥料は4〜6月と9〜10月、冬の剪定は11〜12月に軽く
図:梅の一年の作業(関東の平地の目安)

時期 樹の様子 主な作業
1〜3月 開花 花を楽しむ。咲いたら花がらを摘む
2月下旬〜3月 花が終わる 花後の剪定。植え替え
4〜6月 新しい枝と葉が伸びる 肥料。アブラムシの確認。伸びすぎた枝を軽く切る
7〜8月 花芽ができる 水切れに注意。西日を避ける。強い剪定はしない
9〜10月 秋の生長 肥料を再開し、10月で終える
11〜12月 落葉・花芽が膨らむ 花芽を確かめて軽く枝を整理。寒さに当てる

気をつけたい病害虫

  • アブラムシ:春の新芽や若い葉の裏に集まります。葉が縮れる原因になるので、見つけたら早めに取り除くか、園芸用の殺虫剤を使います。
  • カイガラムシ:枝に白や茶色の小さな粒のように付きます。冬の落葉中は見つけやすいので、歯ブラシなどでこすり落とします。
  • 毛虫:春から初夏に葉を食べる毛虫が出ることがあります。毛に触れるとかぶれる種類もあるので、手袋をして取り除きます。
  • うどんこ病:葉に白い粉をまぶしたような跡が出ます。風通しの悪い場所で出やすく、病気の葉は取り除きます。

冬から春に花を咲かせる盆栽は、梅のほかにもあります。花ものの盆栽を比べたいときは花を楽しむ盆栽の選び方を、梅の盆栽を探すときは梅の盆栽一覧をご覧ください。