南天は、秋から冬に赤い実を房のようにつける常緑の低木です。冬の寒さに当たると葉も赤く色づき、実と葉の両方が冬の景色になります。「難を転ずる」に通じる名前から縁起のよい樹とされ、正月の飾りにもよく使われます。

丈夫で育てやすい樹ですが、実をつけるには少しこつがあります。特に大切なのは、よく日に当てることと、6月ごろに咲く花を雨から守ること、そして枝先を切らないことの三つです。

南天の盆栽の特徴

南天は、根元から何本もの細い幹が立ち上がり、それぞれの幹の先に葉と花、実がつく樹です。枝分かれは少なく、幹の先端に翌年の花のもとができます。この性質が、剪定のしかたに大きく関わります。

実の色は赤が一般的ですが、白い実をつける白南天や、葉が細かく実のつかない「おたふく南天」のような品種もあります。実を楽しみたいときは、実のなる品種かどうかを買うときに確かめます。

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買うときに見るところ

南天の鉢は、実が色づく秋から正月前に多く出回ります。

  • 実のつき方:房にすき間なく実がついているもの。実がしなびているものは、水切れや暖かすぎる場所に置かれていた可能性があります。
  • 幹の数:根元から何本か幹が立っているものは、古い幹を若い幹に替えながら長く楽しめます。
  • 葉の色:冬に葉が赤く色づいているのは寒さに当たった証拠で、傷みではありません。黒い斑点や、葉の裏の白い虫がないかを見ます。

正月に飾るとき

正月に室内へ飾るなら、玄関や床の間など、暖房の効きすぎない涼しい場所を選びます。飾るのは三が日ほどにして、そのあとは屋外に戻します。室内にいる間も、土が乾いたら水を与えます。

置き場所

一年を通して、日当たりと風通しのよい屋外に置きます。南天は日陰でも枯れにくい樹ですが、日が足りないと花が咲きにくく、実も少なくなります。冬の葉の色づきも、日によく当たった樹のほうがきれいです。

時期 置き場所の目安
春(3〜5月) 日なた
梅雨(6月) 花が咲いている間は、雨の当たらない明るい軒下
夏(7〜8月) 午前は日なた、午後は日陰。西日を避ける
秋〜冬 日なた。北風の強い場所と、鉢土の凍結は避ける

ポイント

南天の花は梅雨のころに咲きます。花に雨が当たり続けると花粉が流れて受粉しにくくなり、実が少なくなります。白い小さな花が咲き始めたら、花が終わるまで雨の当たらない軒下に移すと、実つきがよくなります。

室内に飾るのは、正月など数日に限ります。暖かい室内に長く置くと、実がしなびたり葉が落ちたりします。置き場所の考え方全般は、こちらにまとめています。

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水やり

土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。春と秋は1日1回、夏は朝と夕方の2回が目安です。冬は乾きがゆっくりになるので、乾いたのを確かめてから晴れた日の午前に与えます。

南天は乾燥にはやや強い樹ですが、花から実が育つ夏に水を切らすと、実が落ちたり小さくなったりします。

冬は、実をつけたまま水が切れると、実がしわになって落ちやすくなります。寒い時期も土の表面を指で触って確かめ、乾いていれば暖かい日の午前中に与えます。夕方に与えると、夜の冷え込みで鉢の中が凍ることがあります。

肥料

肥料は、新しい葉が伸びる4〜5月と、実が育つ9月ごろに、ゆっくり効く固形の肥料を鉢の縁に置きます。肥料が多すぎると葉ばかり茂り、花が咲きにくくなることがあるので、控えめにします。真夏と冬は与えません。

剪定は「枝先を切らない」が基本

南天は、幹の先端に翌年の花のもとができます。高さをそろえようと幹の先を切ると、その幹にはしばらく花が咲かず、実もなりません。

背が伸びすぎた幹や、古くなった幹は、先を切るのではなく、根元近くで切って間引きます。すると根元から若い幹が伸びてきて、数年でまた実をつけるようになります。

南天の剪定。幹の先端には翌年の花のもとができるので切らない。高くなった古い幹は根元近くで切り、若い幹に替える
図:幹の先は切らずに残し、古い幹は根元から間引きます

  1. 実を楽しみ終えた3月ごろに、樹全体を見ます。
  2. 背が高くなりすぎた幹、葉が少なくなった古い幹を1〜2本選び、根元近くで切ります。
  3. 枯れた幹や、細く弱々しい幹も根元から外します。
  4. 一度に切る幹は全体の3分の1までにします。残した幹で樹の体力を保ちます。

植え替え

植え替えは、新しい芽が動き出す3〜4月が適期です。小さな鉢は2年に1回、中くらいの鉢は2〜3年に1回が目安で、鉢底から根が出ている、水が染み込みにくいといった様子が見えたら時期です。

古い土を3分の1ほど落とし、黒く傷んだ根や長すぎる根を切ってから、小粒の赤玉土を主体にした用土で植えます。株が大きくなって鉢に収まらないときは、根元から株を分けて植え直すこともできます。

一年の流れ

関東の平地を想定した目安です。

南天の盆栽の一年。植え替えは3〜4月、剪定は3月ごろ、肥料は4〜5月と9月、花は6月で雨よけをする、実は11月〜翌2月に赤く色づき、葉も冬に赤くなる
図:南天の一年(関東の平地の目安)

季節の目安

実が赤く色づくのは、関東の平地で11月ごろからです。冬の間は実が残りますが、鳥に食べられることがあるので、正月まで楽しみたいときは、鉢を軒下に置くか、目の細かいネットをかけておきます。

実が少ない・葉が傷むとき

  • 花は咲いたのに実が少ない:花の時期に雨に当て続けた可能性があります。翌年は花が咲いたら軒下に移します。
  • 花が咲かない:日当たりが足りないか、幹の先を切った可能性があります。日なたに移し、幹の先は切らないようにします。
  • 葉が黄色くなって落ちる:根詰まりか、夏の水切れが考えられます。鉢底から根が出ていれば植え替えます。
  • 葉や実に白い綿のような虫がつく:カイガラムシの仲間です。数が少なければ歯ブラシなどでこすり落とします。

注意

南天の実や葉には、体に有害な成分が含まれます。小さな子どもやペットが口に入れないよう、飾る場所に気をつけます。

実のつけ方や品種の違いをもっと詳しく知りたいときは、こちらをご覧ください。

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