柿の盆栽は、秋に橙色の実が枝に下がる姿が見どころです。葉が落ちたあとも実がしばらく残り、冬の枝ぶりと一緒に楽しめます。

実をつけるには、花芽がどこにできるかを知っておくことが大切です。ここでは、剪定と摘果、水やりと肥料の加減を中心に、柿を毎年実らせるための管理を説明します。

盆栽でよく育てられる柿

種類 実の特徴 育てるときのポイント
老鴉柿(ロウヤガキ) 小さな実。細長いもの、丸いものなど形が多彩 雌木と雄木が別。実には雄木の花粉が必要になることが多い
豆柿(信濃柿など) 親指の先ほどの小さな丸い実 枝が細かく出て、小さな鉢でも樹形を作りやすい
甘柿・渋柿の小さな品種 果樹として知られる柿の実 実が大きいので、ある程度の大きさの鉢と樹が必要

盆栽で特によく見かけるのは老鴉柿です。中国原産の柿の仲間で、実が小さく形のバリエーションが多いため、小さな鉢でも実とのつり合いがとれます。

置き場所と水やり

春から秋は、日当たりと風通しのよい屋外に置きます。日照が足りないと花芽がつきにくく、実も色づきません。真夏は西日を避け、午後に日陰になる場所に移すと葉が傷みにくくなります。冬は落葉して休眠するので、鉢土が凍らない軒下などで管理します。

柿は水を好みます。土の表面が乾いたら鉢底から流れるまで与え、真夏は朝夕の2回になる日もあります。開花から実が大きくなる時期に水切れさせると、実が落ちやすくなります。

注意

6〜7月ごろ、まだ小さい実が自然にぽろぽろ落ちることがあります。樹が養える数に実を減らす現象で、ある程度はよくあることです。ただ、水切れや肥料不足、日照不足が重なると落ちる数が増えます。

花芽のつく位置と冬の剪定

柿の花芽は、前の年に伸びた枝の先のほうの芽にできます。春にその芽から新しい枝が伸び、その枝の葉の付け根に花が咲きます。翌年の花芽は、夏ごろから枝の先のほうの芽の中で準備されます。

柿の花は前年に伸びた枝の先のほうの芽から出る新しい枝につく。冬の剪定で枝先を全部切ると、葉だけの枝になる
図:枝先の芽を残すと、そこから伸びる新しい枝に花と実がつきます

そのため、冬の剪定ですべての枝の先を切り詰めると、翌年は花がほとんど咲きません。実をつけたい枝は先の芽を残し、混み合った枝や勢いの強すぎる枝を元から間引くように整えます。樹形のために短く切り戻す枝と、実をつけるために先を残す枝を分けて考えると、毎年実をつけながら形を保てます。

剪定は、落葉後の12月〜2月に行います。葉がない時期は枝の流れが見やすく、ふっくらとした花芽と細い葉芽の違いも分かりやすくなります。剪定の基本は剪定のガイドも参考にしてください。

春に新しい枝が伸びてくる4月下旬〜5月には、不要な位置から出た芽をかき取ります。実がついた枝の先が長く伸びる場合は、実の先に葉を数枚残して止めます。

摘果

実がたくさんついても、すべて残すと樹が弱り、翌年の花が減ります。6月下旬〜7月ごろ、形のよいものを選んで数を絞ります。

目安は、1本の枝に1つ。樹全体では、幹の太さや葉の量に見合う数にとどめます。小さな樹では、数個の実でも十分に見栄えがします。毎年続けて実をつけたいなら、実を少なめにするくらいがちょうどよいです。

老鴉柿の受粉

老鴉柿は雌木と雄木が別の樹です。雌木だけでは実がつきにくく、花が咲く時期に雄木の花粉が届くと実がつきやすくなります。

老鴉柿は雌木と雄木が別。雌木だけでは実がつきにくく、花の時期に雄木を近くに置くと実がつきやすい
図:花の時期に雄木を雌木の近くへ並べます

購入するときは、雌木か雄木かを確かめておきます。雄木を並べる、雄木の花を摘んで雌花に軽くこすりつける、といった方法で受粉させます。開花の時期が雌木と雄木でずれることもあるため、両方の花のつぼみの様子を見ながら準備します。

植え替えと肥料

植え替えは、芽が動き出す前の3月ごろが適期です。2〜3年に1回を目安にします。柿は細かい根が少なく、太い根を切りすぎると弱りやすい樹なので、根の整理は控えめにします。用土は赤玉土を主体に、桐生砂などを2〜3割混ぜて水はけをよくします。

肥料は、葉が開いてくる4月ごろと、9月下旬〜10月に与えます。実がついている年は与えすぎると実が落ちたり枝ばかり伸びたりするので、量は控えめにします。

柿の盆栽の年間作業カレンダー。植え替えは3月、芽かきは4月下旬から5月、開花は5月下旬から6月上旬、摘果は6月下旬から7月、肥料は4月と9月下旬から10月、実の観賞は10月から12月、剪定は12月から2月
図:柿の盆栽の一年の作業(関東の平地の目安)

実を楽しむ樹形と鉢

柿の盆栽は、実が主役になります。枝を細かく作り込むより、実が下がる枝を見せるように、幹から枝が素直に広がる樹形が向いています。実の重みで枝が下がるので、若い枝に針金をかけて形を作るときは、実がつく前の冬のうちに済ませます。

鉢は、橙色の実が映える落ち着いた色のものがよく合います。紺や白、緑の釉薬がかかった鉢や、渋い色の焼き締めの鉢などです。実の数が多いと樹が重くなって倒れやすいので、鉢は浅すぎないものを選びます。

実が落ちる・色づかないとき

様子 考えられる原因 見直すこと
花は咲くのに実がつかない 受粉していない(老鴉柿の雌木だけなど) 花の時期に雄木を並べる、花粉をつける
夏までに実がたくさん落ちる 実の数が多すぎる、水切れ、日照不足 摘果で数を絞る。夏は朝夕に鉢を確かめる
実がヘタの部分から落ちる カキノヘタムシガの食害 落ちた実を拾って処分する
秋になっても色づきが悪い 日照不足、肥料の効きすぎ 秋はよく日に当てる。肥料は控えめにする
実はつくが翌年は花が少ない 実のつけすぎで樹が疲れた、枝先を切りすぎた 実を少なめに。冬の剪定で枝先の芽を残す

実を楽しんだあとは、樹が疲れないよう、ころ合いを見て実を取り外します。実を長く残しすぎないほうが、樹への負担は少なくなります。

気をつけたい害虫と病気

  • カキノヘタムシガ:幼虫が実のヘタの部分から入り込み、実が早いうちに落ちたり色づく前に落ちたりします。落ちた実は拾って処分します。
  • イラガ:夏から秋に葉を食べる毛虫です。触れると強い痛みがあるので、素手で触らず、葉ごと切り取ります。
  • うどんこ病・炭そ病:葉が白い粉をふいたようになる、実や枝に黒い斑点が出るなどの症状があります。風通しをよくし、病気の葉や実は取り除きます。

実ものの盆栽をほかにも

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