サルスベリは、7月から9月ごろまで、枝先に紅やピンク、白の花を房のように咲かせる落葉樹です。一つひとつの花は数日で散りますが、次々に咲き継ぐため、漢字では「百日紅」と書かれます。なめらかで模様のある樹皮も見どころです。

花を長く楽しむために大切なのは、花がどの枝に咲くかを知っておくことです。サルスベリは、その年の春に伸びた枝の先に花をつけます。この性質に合わせて、冬に剪定し、夏に咲き終わった房を切るのが基本の流れです。

サルスベリの盆栽の特徴

見どころ 内容
花 7〜9月。縮れた花びらの花が枝先に房になって咲く。花色は紅・ピンク・紫・白など
樹皮 古い樹皮がはがれ落ち、なめらかでまだらな模様になる
葉 秋に黄色や赤に色づく品種もある
樹の大きさ 背の低い矮性の品種は、小さな鉢でも花がつきやすい

盆栽向けには、大きくなりにくく若いうちから咲く矮性の品種がよく出回ります。花の大きさや色は品種ごとに違うので、買うときは名札で品種を確かめておくと、あとの管理を調べやすくなります。

剪定は休眠期に(2〜3月が適期)

サルスベリは、春から伸びた新しい枝の先に花をつけます。そのため、冬に枝を短く切っても、春に伸びる新しい枝に花が咲きます。

サルスベリの花は春から伸びた枝の先に咲く。冬の2〜3月に伸びた枝を付け根の1〜2芽で切ると、翌年は新しい枝に花が咲き枝数も増える
図:冬に前の年の枝を切り戻すと、春に伸びる新しい枝に花が咲きます

  1. 剪定は落葉後から3月までの休眠期に行い、芽が動く前の2〜3月が適期です。前の年に伸びた枝を、付け根から1〜2芽を残して切ります。
  2. 枯れた枝、内側に向かう枝、込み合った細い枝は元から切ります。
  3. 毎年同じ位置で切ると、そこが少しずつこぶのようにふくらみます。こぶを作らずに枝を伸ばしたいところは、少し先で切ります。

注意

春に芽が伸び始めてから枝先を切ると、その年に花をつける枝を落としてしまいます。形を整える剪定は、芽が動く前の3月までに済ませてください。

咲き終わった房を切る

一つの房の花が咲き終わったら、そのままにせず、房ごと切り取ります。種をつけると樹が疲れ、次の花が咲きにくくなります。

サルスベリの咲き終わった房は、房の下の葉の上で房ごと切る。脇から出た枝にもう一度花が咲くことがある
図:房の下の葉の上で切ると、脇から出た枝にもう一度咲くことがあります

切る位置は、房のすぐ下の葉の少し上です。早い時期に咲いた房を切ると、その下の脇芽が伸びて、夏の終わりにもう一度花を咲かせることがあります。9月に入ってからの房は、そのまま咲かせ終えて構いません。

置き場所と水やり

サルスベリは日光を好みます。春から秋は、一日中よく日が当たる屋外の棚に置きます。日が足りないと花芽がつかず、葉ばかり茂ります。真夏も日なたのままで構いませんが、照り返しの強い床には直接置かず、棚の上に置きます。

水やりは、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまで与えます。花の時期は真夏と重なるので、朝夕の2回が目安です。水切れさせると、つぼみが落ちたり、花の時期が短くなったりします。開花中は、花に水がかからないように株元へ与えます。乾き具合の見分け方は、こちらで説明しています。

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肥料と植え替え

肥料は、芽が伸びて葉が開いた5月から梅雨明けごろまでと、花が終わった9月下旬〜10月中旬に、ゆっくり効く固形の肥料を置きます。窒素の多い肥料を多く与えると、枝葉ばかり伸びて花が減ります。

植え替えは、暖かくなって芽が動き出す4月ごろが適期です。サルスベリは寒い時期の植え替えを嫌うので、早春には行わず、芽が動き出すのを待ちます。小さな鉢は2年に1回ほど、根が鉢に回ったら植え替えます。

芽吹きは遅く、冬は凍結に注意

サルスベリは芽吹きが遅く、関東の平地でも葉が出るのは5月ごろです。ほかの樹が芽吹いても枝が裸のままのことがありますが、枯れたわけではありません。枝先を少し爪でこすって、緑色が見えれば生きています。

冬は屋外で管理できます。寒さには比較的強い樹ですが、小さな鉢は鉢土が凍ると根が傷むので、寒風の当たらない軒下などに移します。

季節の目安

葉が落ちたら冬の置き場所へ移し、芽が動き出す4月ごろに日当たりのよい棚へ戻します。芽吹くまでの間は、土が乾いたら晴れた日の午前中に水を与えます。

花の時期の楽しみ方

サルスベリは、一つの房の中でつぼみが下から順に開き、房ごとに咲く時期が少しずつずれます。そのため、樹全体では長い間花が続きます。花の時期は、雨や強い風で花びらが散りやすいので、台風や大雨の予報が出たら軒下に移します。

室内に飾ることもできますが、日が足りないとつぼみが開かずに落ちます。飾るのは1〜2日にとどめ、花を見たらすぐ日なたへ戻します。冷房の風が直接当たる場所は、葉もつぼみも傷めるので避けます。

花が少ない年は、つぼみが見えた段階で肥料を足すより、まず日当たりと水やりを見直すほうが効果があります。

一年の作業カレンダー

関東の平地を想定した目安です。

サルスベリの盆栽の年間作業カレンダー。芽吹きは5月ごろ、開花は7〜9月、花がら切りは7月中旬〜8月で9月以降の房はそのまま、剪定は落葉後〜3月で2〜3月が適期、植え替えは4月ごろ、肥料は5月〜梅雨明けと9月下旬〜10月中旬、凍結に注意するのは12月〜2月
図:サルスベリの一年の作業(関東の平地の目安)

病害虫と、花が咲かないとき

  • 葉やつぼみに白い粉がつく:うどんこ病です。梅雨や夏の終わりの、風通しの悪い場所で出やすくなります。病気の葉を取り除き、鉢の間隔をあけて風を通します。
  • 葉が黒くすすけたようになる:アブラムシやカイガラムシの排せつ物に、カビが生える「すす病」です。原因の虫を取り除きます。
  • 花が咲かない:日当たり不足か、春に芽が伸びてから枝先を切った可能性があります。剪定は3月までに済ませ、夏は一日中日の当たる場所に置きます。

サルスベリの樹皮の楽しみ方や、仕立て方をもっと知りたいときは、こちらも参考になります。

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夏の暑さへの備えは盆栽の夏の管理に、花を楽しむほかの樹種との比較は花を楽しむ盆栽の選び方にまとめています。