梅は、ほかの花木に先がけて、寒さの残る1月下旬から3月ごろに花を咲かせます。葉のない枝に花が並ぶ姿と香りは、小さな鉢でも十分に楽しめます。古木のように荒れた幹の梅は、盆栽ならではの見どころです。

梅の盆栽の手入れは、花が終わった直後に集中します。この時期の剪定と植え替えがその年の枝の伸び方を決め、夏の管理が翌年の花の量を決めます。ここでは品種の選び方と、花の時期から花後にかけての手入れを中心に説明します。

梅の系統と選び方

梅には多くの品種があり、性質の近いものごとに、大きく3つの系統に分けられます。

系統 特徴 盆栽での扱い
野梅系 原種に近い性質。枝が細かく、香りがよい。白や淡い紅の花が多い 枝が細かく出るので小さな鉢でもまとまりやすい
緋梅系 枝の内部が赤みを帯びる。紅色の花が多い 花色が鮮やか。樹勢はやや穏やか
豊後系 アンズとの交雑とされる。花も葉も大きめ 丈夫で樹勢が強い。花が大きく見栄えがする

ほかに、枝が垂れる「しだれ梅」もあり、幹の上から花の枝が流れ落ちる姿を楽しみます。選ぶときは、冬の間に枝を見て、丸くふくらんだ花芽が多い株を選ぶと、その年の花を楽しめます。

なお、「長寿梅」は名前に梅とつきますが、ボケの仲間の別の樹です。花の時期や手入れの方法も異なるので、長寿梅を育てる場合は、こちらを参考にしてください。

あわせて読みたい長寿梅の盆栽の育て方|置き場所・水やり・剪定と、花を毎年咲かせるコツ記事を読む › 症状から調べる盆栽の花が咲かないとき考えられる原因と、今すぐやること・様子を見ること ›

花の時期の置き場所と飾り方

梅は寒さに強く、冬も屋外で管理します。冬の寒さに当たることで花芽がそろい、春に咲く準備が整います。つぼみがふくらみ始めたら、寒風の当たらない日なたに置きます。

咲き始めたら、室内に取り込んで飾るのもよい楽しみ方です。ただ、暖かい部屋では花が早く開ききって散ってしまいます。

梅の盆栽を花の時期に室内へ飾るときの注意。明るい窓辺に置き、暖房の風は避け、飾るのは2〜3日、夜は涼しい場所へ移す
図:室内に飾るのは2〜3日。暖房の風は避けます

  • 明るい窓辺に置き、暖房やエアコンの風が直接当たる場所は避けます。
  • 飾るのは2〜3日を目安にし、屋外に戻します。
  • 夜は玄関や暖房のない部屋など、涼しい場所に移すと花が長持ちします。

季節の目安

関東の平地では、早咲きの品種が1月下旬ごろから、遅いものは3月ごろに咲きます。同じ品種でも、日当たりのよい場所ほど早く咲きます。

花後すぐの剪定

梅は、春から夏に伸びた新しい枝に、7〜8月ごろ翌年の花芽をつけます。花が終わったらすぐに、花の咲いた枝を切り戻して新しい枝を伸ばすのが、毎年咲かせるための基本です。

梅の花後の剪定。花が終わったら花の咲いた枝を2〜3芽残して切る。新しく伸びた枝に夏ごろ翌年の花芽がつく
図:花後に2〜3芽残して切ると、夏に新しい枝へ花芽がつきます

  1. 花が散ったら、花がらを取り除きます。実をつけると樹が疲れるので、実は残しません。
  2. 花の咲いた枝を、付け根から2〜3芽を残して、芽の少し上で切ります。
  3. 枯れた枝、内側に向かう枝、ほかの枝と交差する枝は元から切ります。
  4. 太い枝を切ったときは、切り口に癒合剤を塗ります。

秋から冬に行うのは、勢いよく伸びすぎた枝の整理だけにとどめます。この時期の枝先には花芽がついているので、短く切ると花が減ります。剪定全般は剪定のガイドで説明しています。

植え替え

植え替えも、花が終わった直後の2月下旬〜3月が適期です。剪定と同じ時期にまとめて行えます。小さな鉢は1〜2年に1回、根が鉢に回って水が染み込みにくくなったら時期です。古い土を3分の1ほど落とし、長い根を整理して、小粒の赤玉土を主体にした土で植えます。植え替え後の2週間ほどは、強い風と日差しを避けた明るい場所で管理します。

夏の水やりと肥料

梅は水をよく吸う樹です。土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。春と秋は1日1回、真夏は朝夕の2回が目安です。花芽ができる7〜8月に水切れさせると、翌年の花が減ります。

肥料は、花後に葉が開いてから梅雨前までと、9月〜10月に、ゆっくり効く固形の肥料を置きます。真夏と冬、花の時期は与えません。

注意

夏に葉を傷めると、花芽が十分に育ちません。真夏は西日と照り返しを避け、葉が落ちるほど乾かさないようにしてください。

一年の作業カレンダー

関東の平地を想定した目安です。

梅の盆栽の年間作業カレンダー。開花は1月下旬〜3月で品種により前後する、花後の剪定と植え替えは2月下旬〜3月、肥料は4〜5月と9月〜10月中旬、花芽ができるのは7〜8月、水切れに注意するのは7月〜9月中旬、枝の整理は11〜12月
図:梅の一年の作業(関東の平地の目安)

時期 主な作業
1〜3月 開花。室内に飾るのは数日。花後すぐに剪定と植え替え
4〜6月 新しい枝が伸びる。肥料を置く。アブラムシの確認
7〜8月 花芽ができる。水切れと葉焼けを防ぐ
9〜10月 肥料を置き、10月で終える
11〜12月 伸びすぎた枝だけを整理する。寒さに当てる

朱塗りの会場に並べられた、白い花と紅色の花の梅の盆栽
写真:Manish Prabhune / CC BY 2.0

花の時期に買ったときの最初の一年

梅の盆栽は、つぼみや花のついた状態で売られることが多い樹です。買った年は、次の順で管理すると無理がありません。

  1. 花の間:暖かい室内に置き続けず、日中は日当たりのよい屋外か涼しい窓辺で花を楽しみます。
  2. 花後:花がらを取り、伸びた枝を2〜3芽残して切ります。根が鉢に詰まっていなければ、植え替えは翌年に回して構いません。
  3. 春〜夏:日当たりのよい屋外で枝を伸ばし、肥料を置きます。夏は水切れさせないことを第一にします。
  4. 秋〜冬:枝は切らずに寒さに当て、花芽がふくらむのを待ちます。

買ってすぐ植え替えと強い剪定を同時に行うと、樹が弱って翌年の花が減ることがあります。最初の年は、環境に慣らすことを優先してください。

花が咲かないときは

  • 前の年の夏に水切れさせた:花芽が育っていません。夏の水やりを見直します。
  • 秋から冬に枝を短く切った:花芽を落としています。剪定は花後に済ませます。
  • 日当たりが悪い:枝ばかり伸びて花芽が少なくなります。
  • 冬に暖かい室内に置いた:寒さが足りず、花がそろいません。

害虫では、春の新芽につくアブラムシと、枝につくカイガラムシに気をつけます。梅の一年の管理をもっと詳しく知りたいときは、こちらで月ごとに説明しています。

あわせて読みたい梅の盆栽の育て方|花後の剪定と、翌年も花を咲かせるための一年の管理記事を読む ›

正月から早春に花を楽しむ盆栽をほかの樹種と比べたいときはお正月に飾る盆栽の選び方を、梅の盆栽を探すときは梅・長寿梅の盆栽一覧をご覧ください。