真柏(しんぱく)は、ヒノキ科のミヤマビャクシンを盆栽に仕立てたものです。細かな葉が一年中緑を保ち、ねじれながら伸びる幹や、白く枯れた枝の景色が見どころになります。
丈夫で水切れにも比較的強く、はじめての方にも育てやすい樹です。ただ、葉の扱い方にはほかの樹と違う決まりがあり、はさみで葉を切ると傷んでしまいます。ここでは真柏ならではの芽摘みと、白い枯れ枝(ジン・シャリ)の手入れを中心に説明します。
真柏と糸魚川真柏
真柏は、海岸や山の岩場に自生する樹で、厳しい環境で幹がねじれたり枝が枯れたりした姿が、盆栽の景色のもとになっています。
盆栽店でよく見かける「糸魚川真柏」は、新潟県の糸魚川周辺に由来する系統です。葉がきめ細かく、締まった緑色になりやすいことから、盆栽向きとして広く育てられています。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 糸魚川真柏 | 葉が細かく締まり、色がよい。小さな鉢でも姿がまとまりやすい |
| そのほかの真柏 | 産地や系統によって、葉の細かさや色、伸び方に差がある |
| 杜松(としょう) | 同じ仲間だが、葉がとがった針のような形 |
杜松の育て方は杜松の盆栽入門で紹介しています。
名前・樹形図鑑「糸魚川真柏」とは新潟県の糸魚川周辺に由来する真柏の系統です。葉がきめ細かく締まった緑色になりやすく、盆栽向きとして広く育てられています。 ›置き場所と水やり
真柏は日光を好みます。一年を通して日当たりと風通しのよい屋外の棚に置きます。日が足りないと葉が間延びし、内側の枝から枯れていきます。冬も屋外で構いませんが、小さな鉢は寒風と凍結を避けるため軒下へ移します。
水やりは、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまで与えます。春と秋は1日1回、夏は朝夕の2回が目安です。真柏は空気の乾燥が続くと葉が傷みやすいので、夏は夕方に葉全体へ水をかける「葉水」をすると、葉の色が保たれ、ハダニの予防にもなります。
芽摘みは指先で
春から秋にかけて、葉の先から明るい緑色の新芽が伸びてきます。伸ばしたままにすると樹形がぼやけるので、飛び出た新芽を摘みます。
図:新芽は指でつまんで摘み、はさみで葉の途中を切らないようにします
- 樹の輪郭から飛び出た新芽を見つけます。
- 新芽の付け根に近いところを指でつまみ、引くように摘み取ります。
- 4〜9月の間、伸びてくるたびに繰り返します。一度にすべて摘まず、伸びたものから順に摘みます。
注意
はさみで葉の途中を切ると、切り口が茶色く変色し、しばらく見た目が悪くなります。枝ごと間引くときは、はさみで枝の付け根から切ります。
芽摘みを続けると枝の先が細かく分かれ、葉が密に茂ります。ただ、すべての新芽を摘み続けると樹が弱るので、元気が足りない枝は伸ばして休ませます。
ジンとシャリ
真柏の盆栽でよく見られる白い枯れ枝や、幹の白い部分には名前があります。
図:白い部分がジンとシャリ。茶色い樹皮の部分が、葉に水を送っています
- ジン:枯れて樹皮がなくなり、白くなった枝。
- シャリ:幹の樹皮がはがれて、木の部分が見えているところ。
- 水を吸う樹皮(水吸い):根から葉へ水を運ぶ、生きた樹皮の部分。ここを傷つけると、その先の枝が枯れます。
ジンやシャリは、雨や汚れで黒ずんだり、腐ったりすることがあります。年に1〜2回、よく晴れて乾いた日に、石灰硫黄合剤を筆で塗ると、白さが戻り、木の部分が傷みにくくなります。
ポイント
石灰硫黄合剤は、葉や生きた樹皮にかかると傷めます。ジンとシャリの部分だけに薄く塗り、塗ったあとは乾くまで雨に当てないようにします。においが強く、皮膚にも刺激があるので、手袋をして屋外で作業してください。

写真:Daderot / CC0 1.0
肥料・針金かけ・植え替え
肥料は、4月から梅雨前までと、9月から10月に、ゆっくり効く固形の肥料を置きます。真夏と冬は与えません。
真柏は枝が柔らかく、針金で形をつくりやすい樹です。針金かけは、樹液の動きが落ち着く10〜11月と、芽が動き出す前の2〜3月が適期です。厳寒期は枝が折れやすいので避けます。曲げるときは、水を吸う樹皮の部分を割らないよう、少しずつ曲げます。かけ方の基本は剪定・芽摘み・針金かけの入門で説明しています。
植え替えは、芽が動き出す3月下旬〜4月が適期で、2〜3年に1回が目安です。古い土を3分の1ほど落とし、水はけのよい土で植えます。
一年の作業カレンダー
関東の平地を想定した目安です。
図:真柏の一年の作業(関東の平地の目安)
冬の管理
真柏は寒さに強く、冬も屋外の日当たりのよい場所で管理します。冬の間は生長がゆっくりになり、土の乾きも遅くなるので、水やりは土が乾いたのを確かめてから、晴れた日の午前中に与えます。夕方に与えると、夜の冷え込みで鉢土が凍りやすくなります。
寒くなると、葉が赤茶色や紫がかった色に変わることがあります。これは寒さによる色の変化で、春に暖かくなると緑色に戻ります。枯れたと思って水を増やしたり、室内に取り込んだりする必要はありません。
ただし、冷たい北風が当たり続けると、葉先から乾いて傷みます。小さな鉢は、風の当たらない軒下や棚の下段に移しておくと安心です。
葉の色や形が変わったときは
- 内側の葉が茶色くなる:日当たりや風通しが足りず、内側に光が届いていません。込み合った枝を間引き、日の当たる場所に置きます。
- 葉全体がかすれたように色あせる:ハダニの可能性があります。夏は葉水で予防します。
- とがった針のような葉が出る:日照不足や、強い剪定のあとに出やすい葉です。見つけたら付け根から取り除きます。
- 枝先から急に茶色く枯れる:その枝につながる水を吸う樹皮が傷んでいるか、根が傷んでいる可能性があります。水のやりすぎにも注意します。
真柏などのビャクシンの仲間は、ナシやリンゴ、カイドウなどに出る赤星病の病原菌を仲立ちすることが知られています。これらの樹と同じ棚に並べず、離して置くと安心です。
真柏の曲げ方や剪定、一年の管理をもっと詳しく知りたいときは、こちらで説明しています。
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