欅(けやき)は、街路樹や神社の大木としてなじみのある落葉樹です。盆栽では、まっすぐ立った幹の上で枝が細かく分かれ、逆さにした箒(ほうき)のような形に整える「箒作り」が代表的な樹形です。

芽吹きの柔らかな緑、夏の青葉、秋の黄葉から赤褐色の紅葉、冬に葉を落とした枝ぶりと、一年を通して姿が変わります。丈夫で芽をよく吹くので剪定に強い一方、放っておくと枝が太く長くなり、箒の細かさが失われやすい樹でもあります。

欅の盆栽の特徴

欅はニレ科の樹で、葉の縁にのこぎりの歯のような切れ込みがあります。若い枝はよく伸び、春から夏にかけて何度も新しい芽を出します。この性質を使って、伸びた枝を止めては分け、止めては分けることで、枝先まで細かい樹形を作っていきます。

なお、「ニレケヤキ」と呼ばれて売られている樹はアキニレの仲間で、欅とは別の樹です。葉が小さく、秋に花が咲く点が違います。育て方は似ていますが、欅のほうが枝の伸びが強く、太りやすい傾向があります。ニレケヤキについてはニレケヤキの盆栽を参考にしてください。

名前・樹形図鑑「箒立ち」とはまっすぐな幹の上で枝が細かく分かれて扇のように広がり、逆さにした箒のような丸い樹冠になる樹形です。欅に多い形です。 ›

置き場所

春から秋は、日当たりと風通しのよい屋外の棚に置きます。日によく当てると葉が小さく締まり、節の間も詰まります。日陰に置くと枝がひょろりと長く伸び、箒の形が崩れます。

真夏は葉が薄いぶん、西日や照り返しで葉の縁が焼けることがあります。午後の強い日差しが当たる場所なら、7〜8月だけ遮光ネットやすだれで日差しをやわらげます。

冬は落葉して休眠するので、屋外で寒さに当てて構いません。小さな鉢は土ごと凍りやすいので、北風の当たらない軒下などに移します。

水やり

欅は水をよく吸う樹です。土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。

時期 水やりの目安
春(3〜5月) 1日1回。芽吹きのころは乾きが早くなる
夏(6〜8月) 1日2回(朝・夕方)。夕方に葉水も
秋(9〜11月) 1日1回。落葉が近づくと乾きがゆっくりに
冬(12〜2月) 乾いたのを確かめて、晴れた日の午前に

真夏に水を切らすと、葉先がチリチリに枯れ込みます。枝先の細かい部分から先に傷むので、箒作りの樹ほど影響が目立ちます。乾き具合の見分け方は、こちらで詳しく説明しています。

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肥料

肥料は、春に新しい葉が開ききって落ち着いたころから梅雨前までと、暑さがやわらぐ9月中旬〜10月に、ゆっくり効く固形の肥料を鉢の縁に置きます。真夏と冬は与えません。

欅は肥料がよく効く樹です。多く与えると枝が太く長くなり、節の間が間延びします。樹形ができあがった樹は控えめにし、幹を太らせたい若い樹には多めにする、というように、樹の段階で量を変えます。

箒作りの芽摘みと剪定

箒作りでは、幹の上で枝が2本ずつに分かれ、先へ行くほど細くなっていく形を目指します。1か所から3本以上の枝が出ていると、その部分だけがこぶのように太るため、早めに2本に減らします。

欅の箒作りの考え方。幹から枝が二つずつに分かれ、先へ行くほど細くなる。1か所から3本以上出ている枝は2本に減らす
図:枝は「1か所から2本」に分け、先へ行くほど細くします

芽摘み(4〜6月)

春に伸びる新しい枝は、葉が4〜5枚ほど開いたところで、元の1〜2枚を残して先を摘みます。指先かピンセットで、柔らかいうちに摘むのがこつです。摘んだところの葉の付け根から、次の芽がまた2本ほど伸びてきます。これを初夏まで繰り返すと、枝の数が増え、節の詰まった細かい枝になります。

全体の芽を一度に摘むと樹が弱るので、勢いの強い上の方の芽から順に摘み、下の弱い枝は少し伸ばしてから摘みます。欅は上の枝ほど強く伸びる性質があり、放っておくと頭だけが茂って下の枝が枯れていきます。

葉刈り(6月ごろ)

元気な樹は、6月ごろに葉を軸だけ残して切る「葉刈り」をすると、二番芽が出て葉が小さくそろい、枝の数も増えます。樹に体力が必要な作業なので、植え替えた年や弱っている樹には行いません。

冬の剪定(落葉後〜2月)

葉が落ちると、枝の流れがよく見えます。この時期に、伸びすぎた枝を切り戻し、1か所から3本以上出ている枝を2本に整理します。内側に向かう枝、上下に重なる枝、急に太くなった枝もここで外します。

剪定の基本は、こちらでまとめています。

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植え替え

植え替えは、芽が膨らみ始める3月ごろが適期です。根の伸びが早いので、小さな鉢は毎年〜2年に1回、中くらいの鉢は2〜3年に1回が目安です。鉢底から根が出ている、水がなかなか染み込まないといった様子が見えたら時期です。

用土は、小粒の赤玉土を主体にしたものが扱いやすいです。箒作りの樹は根も放射状に広げたいので、植え替えのときに根元から四方へ根が広がるように整えます。太く長い根は短く切り、細い根を残します。手順は植え替えのガイドで説明しています。

一年の作業カレンダー

関東の平地を想定した目安です。寒い地域では春の作業を2〜3週間遅らせます。

欅の盆栽の年間作業カレンダー。植え替えは3月、芽摘みは4〜6月、葉刈りは6月、剪定は11月下旬〜2月、肥料は4月下旬〜梅雨前と9月中旬〜10月、夏の日よけは7〜8月、紅葉は11月
図:欅の一年の作業(関東の平地の目安)

季節の目安

欅の紅葉は、黄色から赤褐色まで樹によって色が違います。関東の平地では11月ごろに色づき、そのまま葉を落とします。落葉した直後は枝の流れが見やすく、剪定の計画を立てるのに向いた時期です。

葉を広げた欅の盆栽。太い幹から枝が細かく分かれている
写真:Drew Avery / CC BY 2.0

よくある失敗と見直し方

  • 一部の枝だけが太く長くなる:芽摘みが遅れたか、肥料が多すぎる可能性があります。太った枝は冬に元から外すか、短く切り戻して細い枝に替えます。
  • 上の枝ばかり茂り、下の枝が枯れる:上の芽ほど強く伸びるためです。上から先に芽摘みをし、下の枝には日が当たるように上の葉をすかします。
  • 葉の縁が茶色くなる:夏の水切れか、西日による葉焼けです。置き場所と水やりの回数を見直します。
  • 葉の裏に小さな虫がつく、葉が白っぽくかすれる:アブラムシやハダニが考えられます。春先と夏の乾燥期に葉の裏を確かめ、数が多いときは園芸用の薬剤を使います。

注意

枝が込み合ったまま夏を迎えると、内側の細い枝が日陰になって枯れていきます。せっかく増やした細かい枝を失わないよう、梅雨前に混み合った部分の葉や枝を軽くすかしておきます。

欅の盆栽を探すときは欅の盆栽一覧を、秋に色づく樹をほかにも比べたいときは紅葉を楽しむ盆栽の選び方をご覧ください。

欅とニレ(アキニレ・ハルニレ)の見分け方は、こちらで説明しています。

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