一才桜は、小さな鉢でも春に花を咲かせやすい桜です。花の時期は短いものの、つぼみが膨らんでから散るまでを手元で見られるのが、鉢植えならではの楽しみです。
毎年咲かせるために覚えておきたいのは一つだけです。来年の花芽は、今年の夏につくられます。 剪定を花が終わった直後に済ませ、夏の水切れを防ぐことが、翌春の花数を左右します。
一才桜とは
一才桜は品種名というより、「苗木のうちから花がつきやすい桜」を指す呼び名です。売り場では、旭山桜や、富士桜(マメザクラ)の仲間がこの名前で並んでいることがあります。花の色や咲く時期、樹の大きさは品種によって違うので、買うときに札で品種名を確かめておくと、あとで調べるときに役立ちます。
どの品種でも、育て方の基本は同じです。桜の盆栽全般の話や、旭山桜との比べ方は、こちらで紹介しています。
あわせて読みたい桜の盆栽の選び方と育て方|品種の違い、花芽の見分け方、花後の剪定記事を読む ›買うときに見るところ
一才桜の鉢は、つぼみのついた冬の終わりから春先に多く並びます。選ぶときは次の点を見ます。
- つぼみの数:枝に丸くふくらんだ花芽がいくつもついているものは、その春の花が期待できます。
- 枝の様子:枯れた枝や、皮がはがれた枝が少ないもの。枝先を軽く曲げて、しなやかさがあるかを見ます。
- 幹と根元:根元がぐらつかず、幹に大きな傷やこぶがないもの。
- 鉢の大きさ:小さすぎる鉢は夏に乾きやすく、花芽をつくる時期に水切れしやすくなります。はじめは少し余裕のある鉢のほうが安心です。
開花中の樹を買ったときは、花が終わるまではそのまま楽しみ、花後に剪定と植え替えの計画を立てます。
置き場所
一年を通して、日当たりと風通しのよい屋外に置きます。桜は日光を好み、日が足りないと花芽がつきにくくなります。
| 時期 | 置き場所の目安 |
|---|---|
| 春(開花〜新芽) | 日なた。開花中は雨と強風を避けると花が長もちする |
| 夏 | 午前は日なた、午後は日陰。西日と照り返しを避ける |
| 秋 | 日なた。葉を長く残すほど、樹に養分がたまる |
| 冬 | 屋外で寒さに当てる。鉢土の凍結と北風は避ける |
注意
冬に暖かい室内へ入れたままにすると、花が咲きにくくなります。桜は冬にしっかり寒さに当たることで、春に芽が動き出す準備が整います。花を室内で眺めるのは、咲いてから数日だけにします。
水やり
土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。春と秋は1日1回、夏は朝と夕方の2回が目安です。冬は乾きがゆっくりなので、乾いたのを確かめてから晴れた日の午前に与えます。
一番気をつけたいのは7〜8月です。この時期は、翌年の花芽がつくられているさなかです。夏に一度ひどく水を切らすと、葉が落ち、その年につくられるはずの花芽が育たないことがあります。
肥料
花が終わったら、お礼の肥料として、ゆっくり効く固形の肥料を鉢の縁に置きます。その後は梅雨前までと、9月中旬〜10月に与えます。真夏と冬は与えません。
肥料が多すぎると枝ばかり伸び、花芽がつきにくくなることがあります。小さな鉢では控えめにします。
剪定は花が終わったらすぐに
桜の枝には、丸く膨らんだ花芽と、細くとがった葉芽がつきます。花芽は夏につくられて秋には形が見えてくるので、秋から冬に枝先を切り詰めると、せっかくの花芽を切り落とすことになります。
図:丸い花芽と細い葉芽。切るのは花後すぐ、葉芽の少し上です
剪定の手順は次のとおりです。
- 花が散ったら、花がらと、できかけの実を取り除きます。実をつけたままにすると、樹の体力が実に取られます。
- 長く伸びた枝を、残したい長さのところにある葉芽の少し上で切ります。切った下の葉芽から新しい枝が伸び、夏にその枝に花芽がつきます。
- 内側に向かう枝、交差する枝、枯れ枝を元から切ります。
- 太い枝を切ったときは、切り口に癒合剤を塗ります。桜は切り口から傷みやすい樹です。
剪定が遅れて夏以降になったら、その年は枯れ枝や込み合った枝を外す程度にとどめ、本格的な剪定は翌年の花後に回します。剪定全般の考え方は剪定のガイドも参考にしてください。
植え替え
植え替えは、芽が動き出す前の2月下旬〜3月上旬か、花が終わった直後が適期です。小さな鉢は2年に1回、中くらいの鉢は2〜3年に1回が目安です。
古い土を3分の1ほど落とし、長すぎる根や傷んだ根を切ってから、小粒の赤玉土を主体にした用土で植えます。植え替えた直後の樹は根が少ないので、2週間ほどは強い日差しと風を避けた明るい場所で休ませ、肥料もそのあいだは控えます。
一年の作業カレンダー
関東の平地を想定した目安です。開花の時期は品種や地域によって前後します。
図:一才桜の一年の作業(関東の平地の目安)
季節の目安
関東の平地では、鉢の一才桜は3月下旬から4月上旬ごろに咲くことが多く、地植えの桜と同じかやや早めです。暖かい日なたに置くと早く咲き、日陰では遅れます。

写真:*_* / CC BY 2.0
花の時期の楽しみ方
つぼみがふくらんでから散るまでは、1〜2週間ほどです。この間は水の吸い上げが多くなるので、土の乾きを朝夕に確かめます。
室内で眺めたいときは、花が開いてから数日だけにします。暖かい部屋では花が早く散り、乾燥でつぼみも落ちやすくなります。夜は屋外か、涼しい玄関などに戻すと、花が長もちします。花びらが散り始めたら、剪定と、お礼の肥料の準備に移ります。
花が咲かない・つぼみが落ちるとき
- 花が一つも咲かない:秋から冬に枝先を切り詰めていないか、夏に水切れさせていないかを見直します。日当たりが悪い場所でも花芽がつきにくくなります。
- つぼみが膨らむ前に落ちる:冬に暖かい室内に置いた、鉢土をからからに乾かした、といったことが考えられます。冬も屋外で、乾いたら水を与えます。
- 花は咲いたが数が少ない:前の年の花後に剪定しなかったため、花芽のつく短い枝が少ないのかもしれません。今年の花後に剪定し、夏の管理を丁寧にすると、翌年は増えやすくなります。
- 新芽や葉にアブラムシや毛虫がつく:春から初夏に多く出ます。見つけたら早めに取り除き、数が多いときは園芸用の殺虫剤を使います。
花の咲く盆栽をほかにも比べたいときは花を楽しむ盆栽の選び方を、桜の盆栽を探すときは桜の盆栽一覧をご覧ください。
