杜松(トショウ)は、ヒノキ科ビャクシン属の常緑樹です。葉は細い針のようにとがり、3本ずつ輪のように並んでつきます。触ると痛いほど硬い葉と、白く枯れた部分を残した荒々しい幹が、山の厳しい環境で育った古木のような雰囲気を出します。
丈夫で寒さにも強い樹ですが、葉が密に茂る性質があり、放っておくと内側が蒸れて枯れ込みます。日当たりと、枝の内側まで風を通す手入れが育て方の中心になります。
杜松の特徴と、真柏との違い
同じビャクシン属で盆栽によく使われる樹に、真柏(シンパク)があります。見た目や手入れの違いは次のとおりです。
| 杜松 | 真柏 | |
|---|---|---|
| 葉の形 | 針のようにとがった葉(針葉)だけ | 鱗のように重なった葉(鱗片葉)が主 |
| 触った感じ | 硬く、とげのように痛い | やわらかい |
| 芽の摘み方 | 指では痛いのでハサミで切る | 指で摘み取ることが多い |
| 雰囲気 | 野性味があり、枝先が荒い | 葉が細かく、緻密にまとまる |
杜松は根が丈夫なことから、真柏の接ぎ木の台木にも使われてきました。真柏の育て方は、こちらで説明しています。
あわせて読みたい真柏の盆栽の育て方|置き場所・水やり・芽摘みと針金かけの時期記事を読む ›置き場所
一年を通して、日当たりと風通しのよい屋外に置きます。日が足りないと葉の色が悪くなり、内側の枝から枯れていきます。室内に飾るのは、来客のときなど2〜3日までにします。
夏は強い日差しにも耐えますが、西日の当たるコンクリートの上などは鉢が熱くなりすぎるので、棚の上に置いて照り返しを避けます。冬は寒さに強いので屋外で構いません。小さな鉢だけは、土ごと凍らないよう北風の当たらない場所に移します。
水やり
土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。春と秋は1日1回、真夏は朝夕の2回になる日もあります。冬は乾き方がゆっくりになるので、乾いたのを確かめてから晴れた日の午前中に与えます。
杜松は過湿を嫌うので、表面が湿っているうちに重ねて与えるのは避けます。夏の夕方に葉に水をかけると、乾燥期に増えやすいハダニの予防になります。
肥料
4月から梅雨前までと、9月から10月にかけて、ゆっくり効く固形の肥料を鉢の縁に置きます。真夏と冬は与えません。肥料が多いと枝が間延びして葉が粗くなるので、樹形ができあがった樹ほど控えめにします。
芽切りと透かし剪定
芽切り(5〜6月)
春に伸びた新しい芽は、淡い緑色ですぐに見分けられます。伸びすぎた芽を、元の葉を残す位置でハサミで切ります。杜松の葉は硬く、指で摘むと痛いうえに葉先が傷むので、細かい作業もハサミを使います。
図:芽切りは、葉のある所で切るのが基本です
注意
ビャクシンの仲間は、葉のない枝からは新しい芽がほとんど出ません。枝の途中で葉を全部切り落とすと、その枝は枯れてしまいます。短くしたいときも、必ず先に葉を残します。
透かし剪定(3月、10〜11月)
枝が混み合うと内側に光と風が届かず、葉が茶色く枯れていきます。込み合った部分の枝を付け根から間引き、枝と枝の間に隙間をつくります。内側の小さな芽を残しておくと、将来その芽まで枝を切り戻せるようになります。
剪定の基本は剪定のガイドも参考にしてください。
針金かけと樹形づくり
針金かけは、樹の活動がゆるやかになる10月下旬〜2月ごろに行います。枝が硬めなので、太い枝は一度に強く曲げず、数回に分けて少しずつ角度を変えます。
杜松は幹や枝の一部の皮をはいで白く見せる「舎利(しゃり)」や「神(ジン)」が映える樹です。枯れた枝をそのまま残して白く仕上げると、山で風雪に耐えた樹のような姿になります。ただし生きた部分の皮を取りすぎると樹が弱るので、生きている皮の帯は必ずつなげて残します。
針金をかけた後は、夏ごろから枝が太って針金が食い込むことがあります。月に一度は確かめ、跡がつき始めたら外します。かけ方の基本は剪定・芽摘み・針金かけ入門で説明しています。
植え替え
2〜3年に1回、芽が動き出す前の3月下旬〜4月が適期です。古い土を3分の1ほど落とし、長すぎる根を切ってから植え直します。用土は赤玉土を主体に、軽石や桐生砂を2〜3割混ぜて水はけをよくします。
植え替え後の2週間ほどは、強い風と日差しを避けた明るい場所で管理します。手順は植え替えのガイドを参考にしてください。
一年の作業カレンダー
図:杜松の一年の作業(関東の平地の目安)
葉の様子で分かる不調
- 内側の葉から茶色くなる:枝の混みすぎで光と風が届いていません。透かし剪定をして、日当たりのよい場所に置きます。
- 葉全体の色があせ、かすれたように見える:ハダニの可能性があります。葉の裏を白い紙の上ではたくと、小さな虫が落ちてくることがあります。葉水で予防します。
- 春になっても新しい芽が出ない:前の年に葉を切りすぎたか、根が詰まって弱っていることが考えられます。剪定を控え、植え替えの時期を確かめます。
- 枝の一部が急に枯れる:根腐れや、枝の付け根の傷みが考えられます。水のやりすぎがないか見直します。

写真:Drew Avery / CC BY 2.0
写真の樹は、杜松と同じ針のような葉を持つセイヨウネズの仲間です。白い幹の部分が舎利で、生きた皮の帯がその横を通って枝先まで水を運んでいます。
