盆栽の形は、切る・摘む・曲げるの3つの作業でできています。枝を切って整理するのが剪定、伸びる新芽を指で摘むのが芽摘み、枝に針金を巻いて向きを変えるのが針金かけです。

どれも難しい技術に聞こえますが、はじめは「時期を守る」「一度にやりすぎない」の2つを意識すれば大きな失敗はしません。ここでは3つの作業の違いと、それぞれの基本の手順を説明します。

3つの作業の違い

剪定・芽摘み・針金かけの違い。剪定は枝を切って形と風通しを整え、冬の休眠期が中心。芽摘みは新芽を摘んで枝を細かくし、春〜初夏に行う。針金かけは枝に巻いて曲げ、枝の向きと流れを作る作業で秋〜冬が中心
図:切る・摘む・曲げるの3つで、盆栽の形を作ります

作業 何をするか 主な目的 主な時期
剪定 不要な枝を切る、長い枝を切り戻す 形を整える、風通しと日当たりをよくする 落葉樹は葉が落ちた冬、常緑樹は秋〜冬と春先
芽摘み 伸びる新芽を指やピンセットで摘む 節を詰めて枝を細かくする 春〜初夏の生長期
針金かけ 枝に針金を巻き、向きや曲がりを付ける 枝の流れを作る 秋〜冬が中心(樹種による)

時期は樹種によって変わります。もみじや五葉松など、樹種ごとの細かな時期は、それぞれの育て方の記事で確かめてください。

名前・樹形図鑑「模様木」とは幹が左右や前後にゆるやかに曲がりながら立ち上がる樹形です。盆栽でいちばん多く見かける形です。 ›

剪定

切ることが多い枝

剪定で最初に覚えたいのは、樹の形を乱しやすい枝の見分け方です。盆栽では、次のような枝を元から切ることが多くなります。

剪定で元から切ることが多い枝。真上に伸びる立ち枝、幹へ戻る逆さ枝、長く勢いが強い徒長枝、ほかの枝と交わる交差枝、1か所から何本も出る車枝、下を向く下がり枝
図:赤い枝が、元から切る候補になる枝です

  • 立ち枝:横に伸びる枝から真上に向かって伸びる枝
  • 下がり枝:真下に向かって伸びる枝
  • 逆さ枝:外へ向かわず、幹のほうへ戻るように伸びる枝
  • 交差枝:ほかの枝と交わって重なる枝
  • 車枝:幹の同じ高さから、車輪のように何本も出る枝
  • 徒長枝:ほかの枝より勢いよく、長く伸びた枝

すべてを一度に切る必要はありません。樹の形を正面から見て、明らかに目立つものから順に切ります。

剪定の手順

  1. 鉢を回して、樹の正面(いちばん見栄えのする向き)を決める
  2. 枯れた枝を元から切る
  3. 上で挙げた枝のうち、目立つものを元から切る
  4. 残す枝のうち長すぎるものを、芽の少し上で2〜3節を残して切り戻す
  5. 少し離れて全体を見て、切りすぎていないか確かめる

太い枝を切ったときは、切り口に癒合剤を塗っておくと、乾燥や雨水から守れます。剪定の時期と樹種ごとのこつは、こちらで詳しく説明しています。

あわせて読みたい盆栽の剪定|樹種ごとの時期と切る位置、忌み枝の見分け方記事を読む ›

注意

松の仲間は、葉の付いていないところまで枝を切り戻すと、そこから芽が出ずに枯れ込むことがあります。松は必ず葉や芽が残るところで切ります。

葉が落ちて細かい枝ぶりが見える冬の落葉樹の盆栽
写真:ambabheg / CC BY 2.0

芽摘み

芽摘みは、春から初夏に伸びる新芽の先を摘んで、伸びすぎを抑える作業です。新芽の先を止めると、その下の芽が動いて枝が分かれ、節の間も詰まって、細かな枝ぶりになっていきます。

  1. 新芽が伸び始めたら、毎日よく見て伸び具合を確かめる
  2. 残したい葉(樹種によって1〜2対や2〜3枚)が開いたところで、その先の芽を指先かピンセットで摘む
  3. 勢いの強い上の芽から摘み、下の弱い芽は少し遅らせる

摘み方は樹種で違います。もみじは最初の1〜2対の葉を残して摘み、五葉松は伸びたみどり(新芽)を半分ほど折り取ります。真柏は、伸びた新芽の先を指でつまんで摘みます。はさみで切ると切り口が茶色くなる樹種もあるので、指で摘むのが基本です。

ポイント

すべての芽を摘むと樹が弱ります。枝を伸ばしたいところ、太らせたい枝の芽は摘まずに残します。

針金かけ

針金の種類と太さ

盆栽用の針金には、柔らかく扱いやすいアルミ線と、固く保持力の強い銅線があります。はじめは、曲げ直しがしやすいアルミ線が向いています。

太さは、曲げたい枝の太さのおよそ3分の1を目安にします。細すぎると枝が戻ってしまい、太すぎると巻きにくく枝を傷めます。迷ったら、短く切った針金を枝に1〜2巻きして、枝がその形を保つか試してみます。

巻き方

針金のかけ方の基本。太さは枝の3分の1ほどが目安で、枝に対しておよそ45度の角度で同じ間隔にらせん状に巻き、端は幹か太い枝に固定する。2本の枝は股をまたいで1本の針金で巻くと両方が固定される
図:約45度の角度で、同じ間隔に巻きます

  1. 針金の端を、幹か太い枝に2〜3巻きして固定する
  2. 枝に対しておよそ45度の角度で、同じ間隔のらせん状に枝先へ向かって巻く
  3. 隣り合う2本の枝は、股をまたいで1本の針金で巻くと、両方がしっかり固定される
  4. 巻き終えたら、枝の外側(曲げると伸びる側)に針金が当たるようにして、少しずつ曲げる

一度に大きく曲げると、枝が裂けたり折れたりします。曲げる前に枝をよく手でしならせ、数回に分けて形を付けます。

外すタイミング

枝が太ると、針金が樹皮に食い込んで跡が残ります。数か月に一度は針金の周りを見て、食い込み始めたら外します。外すときは、巻いたときと逆にほどくと枝を傷めやすいので、針金切りで短く切りながら外します。もみじなど生長の早い樹種は、春から夏に数か月で食い込むこともあります。

作業の後の管理

剪定や針金かけの後は、樹にとって小さなけがをした状態です。作業の後、数日から1週間ほどは、強い日差しと風を避けた明るい場所で休ませます。

  • 水やりはいつもどおり、乾いたらたっぷり与える
  • 太い枝を切った後や針金をかけた直後は、肥料を少し控える
  • 針金をかけた枝は、強い風で揺れると傷みやすいので、風の強い日は場所を移す

葉が落ちた冬に作業した落葉樹は、休眠中なので大きな変化は見えませんが、鉢土が凍るような場所は避けて管理します。

はじめてのときに失敗しやすいこと

  • 一度に切りすぎる:葉の量が急に減ると樹が弱ります。剪定は数年かけて形にするつもりで、1回に切るのは目立つ枝だけにします。
  • 時期を外す:花ものは花芽ができた後に切ると、翌年の花が減ります。花芽ができる時期は樹種ごとに確かめます。
  • 弱っている樹に作業する:植え替え直後や、葉の色が悪いときは、剪定も針金かけも控え、まず樹の回復を待ちます。
  • 針金を忘れる:かけた日を記録しておくと、外し忘れを防げます。

作業にそろえたい道具は、こちらで説明しています。

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