椿は、寒い時期に花を咲かせる常緑の樹です。品種によって秋の終わりから春まで花の時期があり、花が終わったあとも、厚くつやのある葉が一年中楽しめます。

丈夫で育てやすい樹ですが、花を毎年咲かせるには、剪定の時期だけは外さないことが大切です。椿は夏に翌年の花芽を作るので、夏より後に枝を切ると、花芽ごと切り落としてしまいます。

椿の盆栽の特徴

盆栽でよく使われるのは、日本に自生する藪椿(ヤブツバキ)や、小さな花をつける侘助(わびすけ)、園芸品種の小輪のものです。花の大きな品種は鉢の大きさとつり合いにくいため、盆栽では小さめの花の品種が好まれます。品種ごとの違いや選び方は、こちらで紹介しています。

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よく似た樹に山茶花(サザンカ)があります。山茶花は秋から初冬に咲き、花びらが一枚ずつ散ります。椿は花が首から丸ごと落ちるものが多く、この違いで見分けられます。育て方はほぼ同じです。

置き場所

椿は日当たりを好みますが、強い日差しと乾いた風はやや苦手です。

  • 春と秋:日当たりと風通しのよい屋外の棚に置きます。日によく当てると、花芽がつきやすくなります。
  • 夏:午前中に日が当たり、午後は日陰になる場所が向いています。西日が強い場所では、遮光ネットやすだれを使います。
  • 冬:寒さには強いので屋外で管理します。ただし、冷たい北風が当たると蕾や花が傷むので、風の当たらない軒下などに移します。花が咲いている間は、雨に当てないほうが花が長持ちします。

花の時期に室内に飾るのは数日にとどめます。暖かい室内に長く置くと、蕾が開かずに落ちることがあります。

水やり

椿は水を好む樹です。土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。

春から秋は1日1回が目安で、真夏は朝夕の2回になる日もあります。とくに7〜9月は翌年の花芽が育つ時期なので、この時期に水切れさせると、蕾が育たなかったり、秋に落ちたりします。冬は乾き具合を見て、晴れた日の午前中に与えます。

注意

夏の水切れは、その年ではなく翌年の花に響きます。葉が厚く、しおれにくい樹なので、水切れに気づくのが遅れがちです。夏は毎日、土の乾き具合を確かめてください。

肥料

花が終わった後の4〜5月と、暑さがやわらぐ9月ごろに、ゆっくり効く固形肥料を鉢の縁に置きます。花後の肥料は、花を咲かせて疲れた樹の回復と、新しい枝を伸ばすためのものです。

真夏と冬は与えません。肥料が多すぎると枝葉ばかりが茂り、花芽がつきにくくなることがあるので、控えめを心がけます。

剪定と花芽

剪定は花後すぐに

椿の剪定は、花が終わった直後、新しい芽が伸び出す前の3〜4月ごろが適期です。花が咲き終わったら、なるべく早く行います。

その後に伸びた新しい枝の先に、6〜8月ごろ翌年の花芽ができます。そのため、夏以降に枝先を切ると、翌年の花が咲かなくなります。

椿の花芽と葉芽の見分け方と剪定。枝先の丸く太った芽が花芽、細くとがった芽が葉芽。剪定は花後すぐ、残したい葉芽の少し上で切る。夏以降は枝先の花芽を切らないよう、混み合った枝を元から抜く程度にする
図:丸く太った芽が花芽、細くとがった芽が葉芽です

  1. 伸びすぎた枝は、残したい方向の葉芽の少し上で切り戻します。
  2. 内側に向かう枝、上下に重なる枝、混み合った枝は元から切ります。
  3. 枯れた枝や弱い枝を取り除き、内側まで日と風が通るようにします。

夏以降の整枝

秋や冬に形を整えたくなったときは、枝先の花芽を確かめてから、混み合った枝を元から抜く程度にとどめます。丸く太った芽が花芽、細くとがった芽が葉芽です。

花がら摘み

咲き終わった花は、落ちる前に取り除きます。そのままにすると実をつけて樹が疲れるうえ、落ちた花が鉢の上で傷むと病気の原因になります。

蕾の数を整える(摘蕾)

秋になると、枝先に花芽がふくらんで蕾がはっきりしてきます。一つの枝に蕾がたくさんついている場合は、9〜10月ごろに1〜2個を残して摘み取ります。残した蕾に力が集まり、花がそろって咲きます。小さな鉢の樹ほど、花の数を絞るほうが樹への負担も軽くなります。

ポイント

蕾を残すときは、外側を向いたものや、樹の形の中でバランスのよい位置のものを選びます。

植え替え

植え替えは、花が終わった後の3〜4月か、9月ごろが適期です。2〜3年に1回が目安で、水が染み込みにくくなったら時期です。

用土は、小粒の赤玉土を主体に、鹿沼土を混ぜたものがよく使われます。椿は弱い酸性の土を好むためです。古い土を3分の1ほど落とし、長い根や傷んだ根を切ってから植え付けます。植え替えの手順は、こちらで詳しく説明しています。

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一年の作業カレンダー

関東の平地を想定した目安です。花の時期は品種によって大きく違うので、剪定と花後の肥料は、それぞれの樹の花が終わった時期に合わせてずらします。

椿の盆栽の年間作業カレンダー。花は11月〜4月で品種による。剪定と花がら摘みは花後の3〜4月、肥料は4〜5月と9月、植え替えは3〜4月と9月、花芽ができるのは6〜8月、摘蕾は9〜10月、チャドクガに注意するのは4〜6月と8〜9月
図:椿の一年の作業(関東の平地の目安。花の時期は品種による)

時期 樹の様子 主な作業
11〜2月 早咲きの品種が咲く。蕾がふくらむ 寒風を避ける。花がら摘み。乾いたら水やり
3〜4月 遅咲きの品種が咲き、花が終わる 花後すぐに剪定。植え替え
4〜6月 新しい枝が伸びる 花後の肥料。チャドクガに注意
6〜8月 翌年の花芽ができる 枝先を切らない。水切れ防止。午後は日陰に
9〜10月 蕾がふくらむ 秋の肥料。摘蕾。植え替えもできる

気をつけたい害虫

  • チャドクガ:4〜6月と8〜9月ごろに発生する毛虫で、椿や山茶花の葉を食べます。毛に毒があり、触れると肌がかぶれます。見つけても素手で触らず、ついている葉ごと切り取って処分するか、園芸用の殺虫剤を使います。
  • アブラムシ:春に新芽につきます。数が少なければ取り除きます。
  • カイガラムシ:枝や葉の裏に白や茶色の小さな殻のようなものがつきます。歯ブラシなどでこすり落とします。

注意

チャドクガの毛は、虫が死んだ後や抜け殻にも残っています。作業するときは手袋と長袖を身につけ、風下に立たないようにします。

花が咲かない・蕾が落ちるとき

  • 花が咲かない:夏以降に剪定して花芽を切っていないか、日当たりが足りているか、肥料が多すぎないかを見直します。
  • 蕾が秋や冬に落ちる:夏から秋の水切れ、冬の寒風、暖かい室内への取り込みが主な原因です。
  • 葉が黄色くなる:春に古い葉が何枚か黄色くなって落ちるのは自然なことです。新しい葉まで黄色い場合は、水のやりすぎや根詰まりを疑います。

冬に咲く寒椿は寒椿の盆栽で、花を楽しむ盆栽をほかの樹種も含めて探すときは花を楽しむ盆栽の選び方をご覧ください。