サツキとツツジは、小さな樹に花がびっしり咲く花もの盆栽の代表です。どちらもツツジの仲間で、育て方の基本はほぼ同じです。
いちばん大事なのは、花が終わった直後の作業です。夏には翌年の花芽ができ始めるので、剪定をその前に終えられるかどうかで、次の春の花数が大きく変わります。
サツキとツツジの違い
盆栽でよく見るのは、5月下旬から6月に咲くサツキと、4月から5月に咲くツツジ(久留米ツツジや霧島ツツジなど)です。
| サツキ | ツツジ | |
|---|---|---|
| 花の時期 | 5月下旬〜6月 | 4〜5月 |
| 葉 | 小さく、やや硬い | サツキよりやや大きく柔らかい |
| 品種 | 非常に多い。1本に色の違う花が咲き分けるものもある | 系統ごとに花の大きさや色が異なる |
| 管理 | 基本は同じ。花後の作業の時期が少しずれる | 同左 |
ツツジは花が早いぶん、花後の剪定もサツキより2〜3週間早くなります。この記事では、サツキを基準に時期を書いています。
症状から調べる盆栽の花が咲かないとき考えられる原因と、今すぐやること・様子を見ること ›用土と植え替え
ツツジの仲間は、酸性の土を好み、細い根が密に張ります。盆栽では鹿沼土を主体に使うのが一般的です。鹿沼土は水はけと水持ちがよく、乾くと白っぽく、湿ると黄色っぽくなるため、水やりのタイミングが見て分かるという利点もあります。
植え替えは、芽が動き出す前の3月か、花が終わった直後が適期です。2〜3年に1回が目安で、鉢底から根がのぞく、水が染み込みにくくなったといった様子が出たら行います。根が細かく固まりやすいので、根鉢の周りと底をほぐし、古い土を3分の1ほど落として植え直します。
手順そのものは、こちらで説明しています。
あわせて読みたい盆栽の植え替え|樹種別の時期・用土の配合と、根の切り方の手順記事を読む ›置き場所と水やり
春と秋は、日当たりと風通しのよい屋外に置きます。日がよく当たるほど枝が締まり、花芽もつきやすくなります。
夏は強い日差しで葉が焼けやすいので、午前中だけ日が当たる場所に移すか、遮光ネットで日差しを和らげます。冬は屋外で構いませんが、鉢土が凍りやすい小さな鉢は、北風の当たらない軒下に置きます。
水やりは、鹿沼土の表面が白っぽく乾いたら鉢底から流れるまで与えます。細い根は乾きに弱く、一度強く乾かすと葉が落ちたり、枝先が枯れたりします。真夏は朝夕の2回になる日もあります。
注意
開花中は、花に水や雨がかかると花びらが傷みやすくなります。花の時期だけは雨の当たらない軒下に移し、水は株元の土に与えます。
花がら摘みと剪定は「花後すぐ」
図:剪定は花後すぐ、遅くとも6月中〜7月上旬までに。それより遅いと花芽を落とします
花がら摘み
しぼんだ花は、花の付け根からつまんで取ります。残しておくと種を作るために樹が体力を使い、見た目も悪くなります。めしべが残りやすいので、花の根元ごと外すのがコツです。
剪定
花がらを取り終えたら、すぐに剪定します。サツキなら花後すぐ、遅くとも6月中〜7月上旬まで、ツツジなら5月中が目安です。
- 樹の輪郭から飛び出した長い枝を、残したい形に合わせて切り戻す
- 1か所から3本以上出ている枝は、2本に減らす
- 内側に向かう枝、下に垂れる枝、重なる枝を元から切る
- 切った枝先から出る新芽が、そのまま次の花芽をつける枝になる
ツツジの仲間は、枝の付け根や節から芽が出やすいので、思い切って切っても芽吹きます。ただし花芽は7月ごろから新しい枝の先に作られ始めます。それ以降に枝先を切ると、翌年の花をまとめて落とすことになります。
ポイント
夏以降に飛び出した枝が気になっても、切るのは翌年の花後まで待ちます。どうしても形を整えたいときは、花芽を確かめてから、芽のない部分だけを切ります。
針金かけをするなら、剪定の後の6〜7月が向いています。サツキの枝は硬く折れやすいので、曲げるのは少しずつにします。剪定と針金の基本は剪定・芽摘み・針金かけ入門でも紹介しています。
肥料
肥料は、芽が動き出す3〜4月、花後のお礼肥として6月、暑さがやわらぐ9〜10月に、ゆっくり効く固形の肥料を鉢の縁に置きます。
開花中と真夏、冬は与えません。窒素の多い肥料を秋遅くまで効かせると、枝ばかり伸びて花芽がつきにくくなることがあります。肥料の種類と置き方は盆栽の肥料入門にまとめています。
一年の作業カレンダー
図:サツキ・ツツジの一年(関東の平地の目安)
| 時期 | 主な作業 |
|---|---|
| 3月 | 植え替え。春の肥料を始める |
| 4〜5月 | ツツジが開花。花後に剪定。サツキは蕾がふくらむ |
| 5月下旬〜6月 | サツキが開花。花がら摘み、剪定、お礼肥 |
| 7〜8月 | 花芽ができる時期。半日陰に置き、水切れを防ぐ |
| 9〜10月 | 秋の肥料。日当たりのよい場所へ戻す |
| 11〜2月 | 落ち着いた時期。鉢土の凍結を防ぐ |
花の時期の楽しみ方
サツキは蕾が色づいてから咲き終わるまで、2〜3週間ほど楽しめます。咲き始めは日当たりのよい場所に置き、満開に近づいたら雨の当たらない明るい日陰に移すと、花が長持ちします。
部屋に飾るのは2〜3日を目安にして、また屋外に戻します。室内では光が足りず、蕾が開ききらなかったり、花が早く傷んだりします。
咲き終わった花から順に花がらを摘んでいくと、残りの花もきれいに見えます。全体が咲き終わったら、そのまま剪定とお礼肥に移ります。
花が咲かない・葉の調子が悪いとき
- 花芽がつかない、花が少ない:剪定が遅れて花芽を切っていないか、夏から秋の日当たりが足りていないかを見直します。
- 葉が白っぽくかすれる:葉の裏につくツツジグンバイやハダニの可能性があります。葉の裏に黒い点やかすれた跡がないか確かめます。
- 新芽が食べられる、葉が筋だけになる:ルリチュウレンジなどの幼虫です。見つけたら取り除き、多い場合は園芸用の殺虫剤を使います。
- 葉が黄色っぽくなる:根詰まりや水はけの悪化のほか、用土が古くなって合わなくなっていることもあります。植え替えの時期を確認します。
サツキの品種や、皐月盆栽ならではの楽しみ方は、こちらの記事で紹介しています。
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写真:APK / CC BY 4.0
花の時期のサツキを探すときはさつきの盆栽一覧を、ほかの花ものと比べたいときは花を楽しむ盆栽の選び方をご覧ください。
