盆栽の手入れには専用の道具がいくつかありますが、はじめから全部をそろえる必要はありません。毎日の手入れに使うのは、はさみとじょうろくらいで、植え替えや針金かけの道具は、その作業をするときに買い足せば間に合います。

ここでは、基本となる7つの道具の役割と選び方、そろえる順番を説明します。特定の商品ではなく、何を見て選べばよいかを中心にまとめています。

基本の道具7つ

盆栽の基本の道具7つ。盆栽ばさみは枝や葉を切る、又枝切りは枝を元から切る、ピンセットは芽摘みや草取り、針金と針金切りは枝を曲げる、根かきは根をほぐす、土入れは鉢に土を入れる、じょうろはハス口つきで水やりに使う。まずははさみ・じょうろ・ピンセットの3つ
図:基本の道具7つ。まずは、はさみ・じょうろ・ピンセットから

道具 主な用途 選ぶときに見るところ
盆栽ばさみ 枝や葉を切る 手の大きさに合うか、刃先がきちんと合わさるか
又枝切り 枝を元からえぐるように切る 刃の大きさが樹の枝の太さに合うか
ピンセット 芽摘み、枯れ葉や雑草の除去、苔の手入れ 先がずれずに合うか、反対側にヘラが付いているか
針金と針金切り 枝を曲げる。針金を切って外す はじめは柔らかいアルミ線。切る道具は刃先の細いもの
根かき 植え替えで根をほぐす 先の本数と大きさが鉢に合うか
土入れ 鉢のすき間に土を入れる 大中小の大きさ違いがあると使いやすい
じょうろ 水やり ハス口(先の細かい穴)が付いているか

盆栽ばさみ

いちばん出番の多い道具です。持ち手の輪が大きく、刃が細長い形が一般的で、細かな枝の間にも刃先を入れられます。普通の園芸ばさみでも細い枝は切れますが、刃が厚く、枝の付け根ぎりぎりで切るのは難しくなります。

選ぶときは、実際に手に持って指の入り具合を確かめるのが理想です。通販の場合は、全体の長さを見て、手の大きさに合うかを判断します。

又枝切り

枝を元から切るための、刃が丸く湾曲したはさみです。切り口が少しへこむように切れるので、枝の跡が目立たずにきれいにふさがります。太い枝を切る機会が出てきたら用意します。

ピンセット

芽摘み、枯れた葉の掃除、雑草取り、苔の手入れと、細かな作業に一年中使います。反対側がヘラになっているものは、苔を押さえたり土をならしたりするのにも使えます。

針金と針金切り

針金は、柔らかく曲げ直しのしやすいアルミ線から始めます。太さは、曲げたい枝の太さのおよそ3分の1が目安なので、いくつかの太さを少しずつそろえておくと便利です。外すときに使う針金切りは、刃先が細く、枝の近くでも切れるものを選びます。

根かき

植え替えのとき、固まった根鉢の外側をほぐすための道具です。熊手のように先が分かれた形が一般的で、竹串や割りばしで代用することもできます。

土入れ

鉢に土を入れる、小さな筒形のスコップです。小さな鉢でも土がこぼれにくく、根のすき間に土を入れやすくなります。

じょうろ

先に細かい穴の開いたハス口が付いたものを選びます。水が柔らかく出るので、土が掘れたり苔がはがれたりしません。鉢の数が多いときは、シャワーの出るホースのノズルも便利です。

はじめての1か月盆栽が届いた日から1か月の世話を、チェックしながら進める置き場所・水やり・植え替えを急がないことなど ›

そろえる順番

道具は、作業をする段階に合わせて少しずつ増やしていきます。

道具をそろえる順番。最初は盆栽ばさみ・じょうろ・ピンセットで毎日の手入れ。植え替えのときに根かき・土入れ・ふるい・鉢底ネット。形を作るときに又枝切り・針金・針金切りを慣れてきたらそろえる
図:毎日の手入れ → 植え替え → 樹形づくりの順に買い足します

  1. 最初に:盆栽ばさみ、じょうろ、ピンセット。これで水やりと日々の手入れはできます。
  2. 植え替えのとき:根かき、土入れに加え、土の細かい粉を取り除くふるいと、鉢底の穴をふさぐ鉢底ネット。
  3. 形を作るとき:又枝切り、針金、針金切り。剪定や針金かけに慣れてきたらそろえます。

剪定・芽摘み・針金かけの作業そのものは、こちらで説明しています。

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あると便利な道具

7つの基本の道具のほかに、次のようなものがあると作業が楽になります。どれも必須ではないので、必要を感じたときに足していけば十分です。

  • ふるい:植え替え前の用土から細かい粉を取り除きます。粉が残ると、鉢の中で水はけが悪くなります。
  • 鉢底ネット:鉢底の穴から土がこぼれたり、虫が入ったりするのを防ぎます。
  • 霧吹き:夏の夕方の葉水や、苔の乾燥を防ぐのに使います。
  • 回転台:鉢をのせて回しながら作業できるので、剪定や針金かけのときに全体を見やすくなります。
  • 癒合剤:太い枝を切った後の切り口に塗り、乾燥や雨水から守ります。

セットで買うか、単品でそろえるか

はさみ・ピンセット・根かきなどが組になったスターターセットは、一度にそろえられて、収納ケースが付いていることも多いのが利点です。一方で、しばらく使わない道具まで含まれていることがあります。

  • セットが向いている人:植え替えや針金かけまで、近いうちに一通り試してみたい人
  • 単品が向いている人:まずは一鉢を育ててみたい人。はさみだけは手になじむものを選びたい人

ポイント

何を買うにしても、はさみだけは切れ味のよいものを選ぶと、作業がずっと楽になります。切れないはさみは枝の切り口をつぶし、傷みの原因になります。

身近な店の園芸用品で代用できるものもあります。じょうろや土入れは園芸用のもので十分に使え、根かきは竹串で代わりになります。費用を抑えて始める方法は100均で作る盆栽入門セットも参考になります。

使った後の手入れと保管

  • 汚れと樹液を拭き取る:使い終わったら、刃に付いた樹液や土を布で拭き取ります。松やにが付いたときは、消毒用アルコールを含ませた布で拭くと落ちやすくなります。
  • 乾かしてから油を差す:水で洗った後は、よく乾かしてから刃と支点に薄く油を差し、さびを防ぎます。
  • 刃物は乾いた場所に:湿気の多い物置などに置くと、さびが出やすくなります。ケースや布に包んで、乾いた場所に保管します。

注意

病気の枝を切ったはさみで、そのまま別の樹を切ると、病気が移ることがあります。病気の疑いがある枝を切った後は、刃を拭いて消毒してから次の作業に移ります。

鉢や用土もあわせて用意したいときははじめての盆栽鉢・土・道具の選び方を、道具の一覧は盆栽の道具の商品一覧をご覧ください。