お見舞いに盆栽を贈りたいと考えたときは、まず相手がいまどこにいるかを確かめます。入院中の方には、盆栽を含む鉢植えは贈らないのが一般的です。盆栽が向いているのは、退院したあとのお祝いや、自宅で落ち着いて過ごしている方への贈り物です。

ここでは、相手の状況ごとの考え方と、贈るときに選びやすい樹、気をつけたいマナーを説明します。

入院中のお見舞いに鉢植えを避ける理由

鉢植えは土に根を張って育つことから、「根付く」が「寝付く」に通じるとして、病気が長引くことを連想させると考えられています。気にしない方もいますが、ご家族や同室の方が気にすることもあるため、避けておくのが無難です。

実際の面でも、病室に盆栽は向きません。

  • 病院の決まり:衛生上の理由から、生花や鉢植えの持ち込みを断っている病院が増えています。花束でさえ受け付けない病棟もあります。
  • 世話ができない:盆栽は毎日の水やりが欠かせず、多くは屋外で育つ樹です。病室で世話を続けるのは、本人にも看護する方にも負担になります。
  • 置き場所がない:病室の棚やテーブルは限られていて、受け皿の水や土がこぼれると片付けの手間をかけてしまいます。

入院中の方には、本や飲み物、ご本人が使いやすい日用品など、すぐに手元で使えるものが喜ばれやすいです。盆栽は、退院後のお祝いまで取っておくと気持ちが伝わります。

相手の状況で考える図。入院中は鉢植えを避ける。自宅で療養中は先に家族に確かめてから手間の少ない樹を。退院のお祝いは回復を祝う贈り物として選びやすい
図:入院中は避け、自宅療養中は確かめてから、退院のお祝いなら選びやすい

贈り物ナビ誰に・どんな場面で・予算から、贈る盆栽を3鉢に絞る敬老の日・誕生日・開店祝いなど10の場面 ›

自宅で療養している方に贈るとき

退院して自宅で療養している方に贈る場合は、先にご家族に様子を聞いてからにします。体調によっては、毎日の水やりが負担になることがあるためです。

確かめておきたいのは、次のようなことです。

  1. 水やりなどの世話を、本人かご家族が無理なく続けられるか
  2. 日当たりのよい窓辺や、玄関先・ベランダなどの置き場所があるか
  3. 花の香りや、土を室内に持ち込むことが気にならないか

世話をする人がいない、置き場所がないという場合は、無理に盆栽を選ばず、元気になってからのお祝いにする方法もあります。

退院のお祝いに盆栽を贈るとき

退院のお祝いは、回復を一緒に喜ぶ贈り物なので、盆栽を選びやすい場面です。花が咲く樹なら、季節がめぐって花が開くたびに、回復したころを思い出してもらえます。

なお、「快気祝い」は、回復した本人がお見舞いをくれた人へ贈るお礼のことです。周りの人から贈るときは「退院祝い」として考えます。

選ぶときの目安

療養中・回復後の方に選ぶときの目安。手入れが少ない、小さく軽い、香りが控えめ、受け皿と説明書がある
図:療養中や回復したばかりの方には、負担の少ないものを選びます

体力が戻りきっていない時期は、重い鉢を持ち運んだり、細かな手入れをしたりするのは負担になります。片手で持てる大きさで、水やりを中心に世話ができる樹を選びます。

選びやすい樹と、その理由

樹種 選びやすい理由 気をつけたいこと
長寿梅 名前が縁起よく、丈夫で春と秋に花が咲く 屋外向き。夏は水切れに注意
五葉松 一年中緑で、落ち葉がほとんどない 屋外向き。日当たりが必要
南天 「難を転ずる」に通じる縁起物。冬に赤い実 実の時期以外は葉を楽しむ
桜(一才桜など) 春の花が回復の門出に合う 花の後の手入れを伝えておく
ガジュマル 室内の明るい窓辺で育てやすい 冬の寒さに弱い

長寿梅の育て方は、こちらで説明しています。贈るときに育て方のメモを添えるのにも使えます。

あわせて読みたい長寿梅の盆栽の育て方|置き場所・水やり・剪定と、花を毎年咲かせるコツ記事を読む ›

避けたほうがよいもの

お見舞いの花で避けられることが多いものは、盆栽でも気にする方がいます。

  • 椿:花が首から落ちるように散ることから、お見舞いには避けられることが多い樹です。
  • 香りの強い花:体調によっては香りが負担になることがあります。
  • 鉢の大きいもの・重いもの:置き場所に困り、動かすのも大変です。

注意

花の色で血を連想させるとして、真っ赤な花を避ける方もいます。気になる場合は、長寿梅なら白い花の品種を選ぶ、松柏類にするなどの方法があります。

のし・表書きと、添える言葉

退院のお祝いは、紅白の結び切りの水引に、表書きは「祝御退院」や「御退院御祝」とするのが一般的です。結び切りは「繰り返さない」という意味があり、病気やけがのお祝いに使います。配送で贈るときは、外から見えない内のしにしておくと控えめです。

添える言葉は短くまとめます。「重ね重ね」「たびたび」「また」など、繰り返しを連想させる言葉は避けます。

ポイント

「退院おめでとうございます。花が咲くころに、また元気な顔を見せてください」のように、先の季節の楽しみに触れると、無理をさせない言い方になります。

盆栽を受け取ったあと、どこに置き、どのくらい水をあげればよいかが分かる簡単なメモを付けておくと、ご本人もご家族も安心して世話ができます。水やりの基本は盆栽の水やりにまとめています。

迷いやすいこと

花の時期でなくても贈ってよいか

構いません。花が咲いていない時期でも、葉の緑や樹の姿は楽しめます。カードに「春になると花が咲きます」と書いておくと、先の楽しみとして受け取ってもらえます。

枯らしてしまったら気にさせないか

療養中や回復したばかりの方は、思うように世話ができないこともあります。贈るときに「無理をせず、できる範囲で」と一言添えておくと、気持ちの負担を減らせます。訪ねたときに、ご家族と一緒に水やりや置き場所を見てあげるのもよい方法です。

子どもが入院していた場合は

お子さんの退院祝いには、本人よりもご家族が世話をすることになります。花や実がなる樹を選ぶと、親子で変化を楽しみやすくなります。土を口に入れたり、鉢を倒したりしない高さに置くよう伝えておきます。

贈る時期の目安

退院祝いは、退院してから1〜2週間ほどたち、生活が落ち着いたころに届くようにします。退院の直後は通院や片付けで慌ただしいことが多いためです。直接手渡しに行く場合も、ご家族に都合を聞いてから、短い時間で失礼します。

ほかの場面の贈り方とあわせて考えたいときは盆栽ギフトの選び方を、ギフトによく使われる小さな盆栽については、こちらをご覧ください。

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