盆栽は、鉢の中で樹を育て、何年もかけて姿を整えていく趣味です。難しそうに見えますが、始めるときに必要なのは、日の当たる置き場所と、丈夫な樹が一鉢、それに毎日少しだけ様子を見る時間です。
剪定や針金かけといった作業は、樹に慣れてからで間に合います。この記事では、最初の一鉢を選ぶところから、届いてから1か月の世話、一年目に覚える作業の順番までを説明します。
始める前に決めておきたいこと
置き場所
盆栽に使われる樹のほとんどは、屋外で育つ植物です。まず、自宅に半日以上日が当たり、風が通る場所があるかを確かめます。ベランダなら、棚を置けるか、エアコンの室外機の風が当たらないかも見ておきます。
置き場所の考え方は、こちらで詳しく説明しています。
あわせて読みたい盆栽の置き場所|日当たり・風通しの考え方と、季節ごとの移し方の目安記事を読む ›屋外に置き場所がない場合は、室内でも育てやすいガジュマルなどの樹から始める方法もあります。
世話にかけられる時間
毎日の世話は、朝に土の乾き具合を見て、乾いていれば水を与えることが中心です。春や秋なら数分で終わりますが、夏は朝と夕方の2回見る日が出てきます。
夏に何日も家をあける予定が多い場合は、水を切らしにくい少し大きめの鉢を選ぶ、家族に水やりを頼めるようにしておくなど、始める前に考えておくと安心です。
はじめての1か月盆栽が届いた日から1か月の世話を、チェックしながら進める置き場所・水やり・植え替えを急がないことなど ›最初の一鉢の選び方
初めてに向く樹種
最初の一鉢は、丈夫で、季節の変化が分かりやすい樹がおすすめです。
| 樹種 | 向いている理由 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 真柏 | 乾燥や寒さに強く、一年中緑の葉を楽しめる | 日当たりが悪いと葉が間延びする |
| 五葉松 | 生長がゆっくりで、形が崩れにくい | 水のやりすぎで根を傷めやすい |
| もみじ | 新緑と紅葉で季節を感じやすい | 夏の強い日差しと水切れに弱い |
| 長寿梅 | 花が咲きやすく、丈夫で育てやすい | 枝がよく伸びるので切り戻しが必要 |
| ガジュマル | 暖かい室内でも育てやすい | 寒さに弱く、冬は室内で管理する |
樹種ごとの特徴を比べたいときは、こちらも参考にしてください。
あわせて読みたい盆栽初心者に向く樹種の選び方|置き場所・夏の水やり・楽しみ方で選ぶ5つの候補記事を読む ›買うときに見るところ
- 葉の色とつや:色が濃く、つやがあるものを選びます。葉先が茶色い、黄色い葉が目立つものは避けます。
- 根元のぐらつき:幹を軽く持って揺らし、鉢の中でぐらぐらしないかを見ます。植え替えたばかりの樹は根が落ち着いていないことがあります。
- 鉢の大きさ:手のひらに乗る小さな鉢は可愛らしい反面、すぐに乾きます。最初は少し大きめの鉢のほうが水やりの失敗が減ります。
- 樹種名が分かること:育て方を調べるために、樹種名が書かれているものを選びます。
盆栽園で実物を見て選ぶ方法と、通販で買う方法の違いはネットと実店舗の選び方の比較で紹介しています。

写真:Josh Pollock / CC0 1.0
最初にそろえる道具
図:最初は、はさみ・じょうろ・ピンセットがあれば十分です
最初に必要なのは、枝を切る盆栽ばさみ、先に細かい穴の開いた口(ハス口)がついたじょうろ、枯れ葉や虫を取るピンセットの3つです。
針金かけや植え替えに使う道具は、その作業をする時期が来てからそろえれば間に合います。道具ごとの使い方と選び方は盆栽道具の選び方にまとめています。
届いてから1か月の世話
図:置き場所を先に決めると、樹種も選びやすくなります
届いた盆栽は、環境の変化で少し疲れています。最初の1か月は、次のことを続けるだけで十分です。
- 届いた日は、直射日光の当たらない明るい場所で休ませる
- 2〜3日たったら、決めておいた日当たりのよい置き場所へ移す
- 毎朝、土の表面を見て、乾いて白っぽくなっていたら鉢底から流れるまで水を与える
- 週に一度、葉の裏や新芽に虫がついていないかを見る
- 枯れた葉や、鉢に落ちた葉はピンセットで取り除く
水やりは、慣れるまで一番迷うところです。「乾いたら、たっぷり」を判断する方法は盆栽の水やりで説明しています。
ポイント
届いてすぐに剪定や植え替えをする必要はありません。最初の1か月は、水やりの間隔と置き場所に慣れる期間と考えて、樹の様子を見ることに集中してください。
注意
届いた盆栽を、そのまま室内に置き続けるのは避けます。飾りたいときは2〜3日にとどめ、屋外の置き場所へ戻してください。
一年目に覚えたい作業の順番
作業は、季節がめぐるごとに一つずつ覚えていけば大丈夫です。
| 順番 | 作業 | 時期の目安 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1 | 水やり | 毎日 | 乾き具合を見て、乾いていればたっぷり |
| 2 | 肥料 | 春と秋 | 固形の肥料を鉢の縁に置く。真夏と冬は休む |
| 3 | 芽摘み・軽い剪定 | 春〜初夏 | 伸びすぎた芽や枝を切り、形を保つ |
| 4 | 夏越し・冬越し | 7〜8月、12〜2月 | 置き場所を移し、水切れや凍結を防ぐ |
| 5 | 植え替え | 2〜3年目の春 | 根が詰まってきたら土を新しくする |
肥料の与え方は盆栽の肥料の入門、剪定や芽摘みは剪定・芽摘み・針金かけの入門で説明しています。月ごとの作業をまとめて見たいときは盆栽の年間管理カレンダーも使えます。
よくある不安
旅行で家をあけるときは? 春や秋の1〜2日なら、出かける前にたっぷり水を与え、明るい日陰に移しておけば多くの場合は持ちます。夏に家をあけるときは、浅い容器に水を張って鉢の下を浸す「腰水」を、留守の間だけ使います。
冬に葉が落ちたけれど枯れた? もみじなどの落葉樹は、冬に葉を落として休みます。枝先の芽がふっくらしていて、枝を軽く曲げてしなるようなら生きています。
室内だけで育てたい 屋外向きの樹を室内に置き続けると弱ります。室内で育てたい場合は、ガジュマルなど暖かい地域の樹を選んでください。
どこに置けるか、どんな楽しみ方がしたいかから合いそうな盆栽を探したいときはかんたん盆栽診断を、手のひらサイズの盆栽から始めたいときは初心者向けのミニ盆栽の選び方をご覧ください。
