南天は、秋から冬にかけて赤い実が房になって垂れ、葉も寒さで赤く色づく常緑の低木です。「難を転ずる」に通じる名前から縁起のよい樹とされ、正月の飾りとしてもよく使われます。

丈夫で育てやすい樹ですが、実のつき方には年によって差が出ます。その差を生むのが、6月ごろの花の時期の管理です。ここでは実をつけるための手入れを中心に、正月に飾るまでの一年の流れを説明します。

南天の盆栽の特徴

南天は根元から何本もの幹が立ち上がる「株立ち」の樹です。枝分かれは少なく、幹の先に葉が集まってつきます。盆栽では、高さの違う幹を何本か立てて、全体を低くまとめた姿がよく見られます。

種類 特徴
南天(赤い実) もっとも一般的。冬に葉も赤く色づく
白南天 実が白〜クリーム色。赤い実の南天と寄せて飾ることもある
小型の園芸品種 背が低く葉が細かい。実をつけにくいものもあるので、実を楽しみたいときは品種名を確かめる

実をつけるための花の時期の管理

南天は6月ごろ、幹の先に白い小さな花をたくさん咲かせます。この時期は梅雨と重なり、長雨に当たると花粉が流れて受粉しにくくなります。花が咲いている間は、日が当たって雨の当たらない軒下へ移します。

南天の花の時期は長雨に当てると花粉が流れて実がつきにくい。日が当たり雨の当たらない軒下に移す
図:花の時期は、雨の当たらない軒下へ移します

花が咲き終わり、小さな緑の実がふくらんできたら、元の日当たりのよい場所に戻します。

ポイント

花の時期に鉢を軽く揺らしたり、柔らかい筆で花をなでたりすると、受粉を助けられることがあります。雨の当たらない場所に置いたうえで、補助として試してみてください。

置き場所・水やり・肥料

南天は半日陰でも育ちますが、実をたくさんつけ、冬に葉をきれいに色づかせるには日当たりが必要です。春から秋は日当たりと風通しのよい屋外に置き、真夏だけ西日を避けます。冬も屋外で構いませんが、小さな鉢は寒風と凍結を防ぐために軒下へ移します。

水やりは、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまで与えます。春と秋は1日1回、夏は朝夕の2回が目安です。花から実が育つ夏に水切れさせると、実が落ちたり小さくなったりします。

肥料は、芽が動く4月ごろから5月と、9月に、ゆっくり効く固形の肥料を置きます。花の時期と真夏、冬は与えません。乾き具合の見分け方は、こちらで説明しています。

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背が伸びたら古い幹を更新する

南天は幹の先に葉がつくので、年数がたつと背が高くなり、下のほうは幹だけになっていきます。また、実をつけた幹の先には、翌年は花がつきにくいとされています。毎年の実と低い樹形を保つには、古い幹を根元近くで切り、新しい幹に入れ替えていきます。

背が伸びた南天は、古い幹を根元近くで1本ずつ切ると、根元から新しい幹が育つ
図:古い幹から順に、根元近くで切って入れ替えます

  1. 実を楽しみ終えた3月ごろ、背が高くなりすぎた幹や、葉が上だけに残っている古い幹を選びます。
  2. その幹を、根元から数cmのところで切ります。一度に切るのは1〜2本にとどめます。
  3. 切った幹の近くや根元から新しい芽が出て、数年かけて新しい幹に育ちます。

注意

すべての幹を一度に切ると、その年の葉が足りず樹が弱ります。また、その冬の実も見られなくなります。古い幹から順に、何年かに分けて入れ替えてください。

植え替え

植え替えは、芽が動き出す3月下旬〜4月が適期です。春にできなかったときは、暑さが落ち着いた9月下旬〜10月上旬でも行えます。小さな鉢は2年に1回ほど、根が鉢いっぱいに回って水が染み込みにくくなったら時期です。株が大きくなっていれば、植え替えのときに株を分けることもできます。手順は植え替えのガイドで説明しています。

一年の作業カレンダー

関東の平地を想定した目安です。

南天の盆栽の年間作業カレンダー。花は6月、花の雨よけは6月、実を楽しむのは11〜2月、剪定と幹の更新は3月、植え替えは3月下旬〜4月と9月下旬、肥料は4〜5月と9月、鳥よけは11月〜2月中旬
図:南天の一年の作業(関東の平地の目安)

時期 樹の様子 主な作業
3〜4月 芽が動き出す 古い幹の更新。植え替え。肥料を始める
6月 花が咲く 雨の当たらない軒下へ。肥料は休む
7〜9月 緑の実が育つ 水切れに注意。真夏は西日を避ける
10〜11月 実が赤く色づく 日当たりのよい場所で色づかせる。鳥よけの準備
12〜2月 実と紅葉を楽しむ 正月に飾る。寒風と凍結を防ぐ

葉や実の様子で分かる不調

  • 実が少ない・つかない:花の時期に雨に当たった、日当たりが足りない、実をつけた幹ばかりで花がつかなかった、のいずれかが多い原因です。
  • 緑の実が夏に落ちる:水切れのサインです。夏は朝夕に乾き具合を確かめます。
  • 冬に葉が赤くならない:日当たりが足りないか、暖かい場所に置いている可能性があります。南天の葉は、寒さと日差しに当たって色づきます。
  • 葉の裏に白い綿のようなものがつく:カイガラムシの仲間です。数が少なければ歯ブラシなどでこすり落とします。
  • 新芽に小さな虫が集まる:春先のアブラムシです。早めに取り除くと広がりを抑えられます。

南天は病害虫が比較的少ない樹ですが、風通しの悪い場所では虫がつきやすくなります。鉢同士の間をあけて並べてください。

鳥よけと、正月に飾るとき

赤く熟した実は、冬にヒヨドリなどの鳥に食べられることがあります。実が色づいてきたら、鉢ごと防鳥ネットをかけるか、鳥が近づきにくい軒下に移します。

正月に室内へ飾るときは、明るい窓辺を選び、暖房の風が直接当たらない場所に置きます。暖かい部屋に長く置くと、実がしぼんだり葉が傷んだりするので、飾るのは数日にとどめ、日中だけ室内に置いて夜は屋外に戻す方法もあります。

南天の基本を短く知りたいときは、こちらにまとめています。

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