盆栽展に作品を出すと、日ごろの手入れに具体的な目標ができます。会期中は多くの人に見てもらえ、経験者から感想や助言をもらえる機会にもなります。

出品というと敷居が高く感じられますが、身近な会の展示会なら、初めての人でも一鉢から出せることが多いです。ここでは、出品の準備を時期ごとに追いながら、飾り方と樹の扱い方を説明します。

出品できる展示会の種類

展示会には、大きく分けて次のような種類があります。初めてなら、所属している会や地域の展示会から始めるのが一般的です。

種類 出品できる人 特徴
会の展示会 その会の会員 年に1回ほど。先輩が準備を手伝ってくれることが多い
地域の盆栽展 地域の愛好家や会の会員 公園や公民館などで開かれる。一般の人に見てもらいやすい
樹種ごとの展示会 さつき、小品盆栽など、その樹種の愛好家 樹種ごとの決まりや審査がある
全国規模の展示会 主催団体の決まりによる 日本盆栽大観展や国風盆栽展など。出品には推薦や選考が必要なことが多い

全国規模の展示会は、見に行くだけでも学ぶことが多い場です。まずは来場者として足を運び、飾り方や樹の仕上がりを見ておくと、自分の出品の目安になります。開催の予定はイベント一覧で確かめられます。

初めての出品に向く樹

初めての出品では、完成度の高さよりも、健康で手入れが行き届いていることが大切です。次のような樹は、初めてでも出しやすいものです。

  • 葉や花の見ごろが会期に合う樹:秋の展示ならもみじや実もの、春の展示なら花ものなど、季節の見どころがはっきりした樹は見てもらいやすくなります。
  • 病気や害虫のない樹:葉の色がよく、枯れ枝が少ない樹を選びます。
  • 自分で数年手入れしてきた樹:会場で質問されたときに、どう育ててきたかを話せます。
  • 運びやすい大きさの樹:重い鉢は、搬入や搬出のときに手間がかかります。最初は一人で持てる大きさが安心です。

申し込みの前に確かめること

開催の案内(要項)が届いたら、次の点を確かめます。

  • 申し込みの締め切りと、出品料の有無
  • 大きさの決まり:樹の高さや鉢の大きさに区切りがあるか
  • 搬入と搬出の日時:自分で運ぶのか、まとめて運んでもらえるのか
  • 飾りに使う物:卓や添えは各自で用意するのか、会で貸し出すのか
  • 審査の有無:賞を決める展示会か、見てもらうことが目的の展示会か

迷ったら、会の世話役や先輩に「初めてですが、この樹で出せますか」と相談します。樹を実際に見てもらうと、仕上げに何が必要かも教えてもらえます。

出品までの準備の流れ

準備は、申し込みのころから少しずつ進めます。直前にまとめて手を入れると、樹に負担がかかったり、切り口が目立ったりします。

盆栽展に出品するまでの準備の流れ。数か月前に申し込みと出す樹を決め、1か月前に枝先と葉を整え、2週間前に鉢を洗い苔を張り、前日に卓と添えを用意し、当日は搬入して正面を決めて飾り、会期後は搬出して半日陰で休ませる
図:出品までの準備の流れ(時期は目安です)

  1. 数か月前:申し込みを済ませ、出す樹を決めます。健康で、病気や害虫のない樹を選びます。
  2. 1か月前:伸びすぎた枝先を整え、傷んだ葉や枯れた葉を取ります。目立つ針金は外すか、かけ直します。
  3. 2週間前:鉢の汚れを落とし、土の表面に苔を張ります。張りたての苔が落ち着くまで、少し時間をみておきます。
  4. 前日:卓(台)や添えの草ものを用意し、樹にたっぷり水をやります。鉢の表面の汚れや落ち葉もここで取ります。
  5. 当日:会場に運び、正面を決めて飾ります。
  6. 会期後:持ち帰ったら半日陰で休ませ、普段の管理に戻します。

注意

植え替えや強い剪定は、展示の直前には避けます。根や枝を大きくいじると、会期中に葉がしおれたり、樹が弱ったりすることがあります。こうした作業は、展示の時期から逆算して前のシーズンに済ませておきます。

飾り方の基本

展示会では、一鉢の盆栽だけでなく、卓や添えを組み合わせた「一席」として見せることが多くあります。

盆栽展の一席の飾りの例。主木を卓にのせ、地板にのせた添えの草ものと掛け軸を組み合わせる
図:一席の飾りの例

  • 主木:その席の主役になる盆栽です。
  • 卓(台):主木をのせる台です。樹の大きさや雰囲気に合う高さと形のものを選びます。
  • 添え:草ものや小さな盆栽を、地板などにのせて脇に置きます。季節を伝える役割があります。
  • 掛け軸:席に掛け軸を合わせることもあります。主木や添えと季節をそろえます。

正面は、根張りと幹の立ち上がりがよく見え、枝が見る人の側へ少し出てくる向きを選ぶのが基本です。どの向きがよいか迷うときは、少しずつ回しながら離れて眺め、いちばん自然に見える向きを決めます。

展示会の台の上に、高さをそろえた台を並べて飾った小さな盆栽
写真:jvmccoy@sbcglobal.net / CC BY 2.0

小さな盆栽を何鉢か組み合わせて飾る場合は、台の高さに変化をつけ、樹の向きが互いに向き合うように並べると、まとまりが出ます。

審査で見られること

賞を決める展示会では、審査員が作品を見比べて評価します。決まった配点が公表されているとは限りませんが、一般に次のような点が見られます。

  • 樹が健康で、葉や芽に勢いがあるか
  • 根張り、幹の流れ、枝の配りなど、樹の形が整っているか
  • 鉢の大きさや色が樹に合っているか
  • 卓や添えとの組み合わせを含めた、席全体のまとまり
  • 季節に合った見せ方になっているか

入賞を目指すかどうかにかかわらず、審査のあとに講評がある展示会では、ぜひ聞いておきます。自分の樹について言われたことは、次の1年の手入れの手がかりになります。

搬入と会期中の注意

運ぶときは、鉢が動かないように箱に入れ、すき間に新聞紙などを詰めて固定します。車の中は短時間でも高温になるので、日の当たらない場所に置き、寄り道をせずに運びます。

会期中の水やりは、主催者の決まりに従います。屋内の会場では乾き方が屋外と違うため、毎朝土の様子を見られるよう、当番の分担を確かめておきます。

季節の目安

盆栽展は春と秋に多く開かれます。秋の展示に出すなら、春から夏の手入れを展示の日に合わせて計画すると、葉の色や枝ぶりが整いやすくなります。

搬出のあと

会期を終えた樹は、屋内に置かれていたぶん、光が足りずに疲れていることがあります。持ち帰ったら、すぐに強い日差しに当てず、数日は半日陰で休ませてから元の置き場所に戻します。

出品の経験を重ねると、ほかの人の作品の見方も変わってきます。会場での作品の見方は、こちらで説明しています。

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