盆栽が弱ったとき、原因として最初に疑われるのが水やりです。ただ、「水が足りない」「やりすぎ」という量の問題より、与え方や見るタイミングがずれていることのほうが多くあります。
ここでは、はじめの1〜2年でつまずきやすい失敗を順に挙げ、何を変えればよいかを説明します。水やりの基本(乾いたかの見分け方や季節ごとの回数)は、こちらにまとめています。
あわせて読みたい盆栽の水やり|乾いたかの見分け方と、季節ごとの回数・時間帯の目安記事を読む ›失敗1:表面だけ濡らして終わる
じょうろでさっと水をかけると、表面の土の色はすぐ濃くなります。見た目は十分に湿っていても、鉢の下のほうまでは届いていないことがよくあります。
この状態が続くと、根は水のある上のほうにばかり伸び、鉢の下の根が弱ります。夏に急にしおれるのは、こうした鉢であることが少なくありません。
直し方は、鉢底の穴から水が流れ出るまで注ぐことです。乾いた土は水をはじくので、一度注いで少し待ち、もう一度注ぐと全体に染み込みます。
症状から調べる盆栽の土が乾かない・カビや藻が出るとき考えられる原因と、今すぐやること・様子を見ること ›失敗2:毎日同じ時間に、同じ量を与える
「1日1回」と決めて機械的に与えると、曇りの日や涼しい日にはまだ湿っている土に水を足すことになります。逆に、風の強い晴れた日には昼までに乾ききってしまいます。
回数の目安は持っておきつつ、与える前に土の色と鉢の重さを確かめる習慣をつけると、この失敗はほとんどなくなります。表面が白っぽく乾いていればたっぷり、まだ黒っぽく湿っていれば待つ、の二択で判断します。
失敗3:受け皿に水をためたままにする
室内に飾るときや、ベランダを汚したくないときに受け皿を使う方は多いと思います。流れ出た水が受け皿にたまったままだと、鉢の底がいつまでも湿り、根が呼吸できずに傷みます。
図:受け皿にたまった水は、そのつど捨てます
屋外の棚に置く盆栽には、基本的に受け皿は要りません。室内で使う場合も、水やりは流しやベランダで済ませ、水が切れてから戻すようにします。
注意
腰水(鉢を水に浸す方法)は、夏の留守のときなどに一時的に使う方法です。ふだんの管理で続けると、受け皿の水と同じく根を傷めます。
失敗4:雨の日は水やりしなくてよいと思い込む
雨が降っていても、枝葉が茂った盆栽では葉が傘のようになり、鉢の土にはほとんど雨が届かないことがあります。軒下や雨の吹き込みにくいベランダでは、なおさらです。
図:枝葉が広がった樹は、雨でも鉢の土が濡れにくくなります
雨の翌朝は、土の色を見てから水やりをするかどうかを決めます。梅雨どきは、雨続きで安心しているうちに小さな鉢だけ乾いていた、ということも起こります。
失敗5:時間帯が季節に合っていない
水やりの時間帯は、季節ごとに避けたいときがあります。
| 季節 | 避けたい時間帯 | 理由 | 向いている時間帯 |
|---|---|---|---|
| 夏 | 日中の暑い時間 | 鉢の中の水が温まり、根を傷めやすい | 朝。乾いていれば夕方にも |
| 冬 | 夕方〜夜 | 鉢の中の水が夜のうちに凍ることがある | 晴れた日の午前中 |
| 春・秋 | 特になし | 気温が安定しているため | 朝が基本 |
真夏の昼にしおれているのに気づいた場合は、日陰に移してから水を与えます。そのままにしておくより、移してから与えるほうが根への負担は小さくなります。
失敗6:苔の色で乾き具合を判断する
苔を張った鉢では、苔が青々としていると土も湿っているように見えます。実際には苔の下の土が乾いていることがあるため、苔のすき間や鉢の縁の土を見るか、鉢を持ち上げて重さで確かめます。

写真:nycbone / CC BY 2.0
苔の上から勢いよく水をかけると、苔がはがれたり土が流れたりします。苔の鉢には、次に説明するハス口のじょうろで、やわらかく注ぐのが向いています。
失敗7:勢いの強い水で土を掘ってしまう
口の細いじょうろや、ホースの水をそのまま当てると、一か所に水が集中して土が掘れ、根が出てしまうことがあります。
図:先に細かい穴のあいたハス口なら、土を崩さずに注げます
先に細かい穴のあいたハス口つきのじょうろを使い、鉢の上を回すように注ぎます。ホースを使う場合は、シャワー状に出せるノズルにします。
ポイント
真夏のホースの中の水は、日なたに置いていると熱くなっています。最初の水は鉢にかけず、手で触って冷たくなってから使います。
失敗8:植え替え直後や弱った樹に、いつもと同じだけ与える
植え替えた直後の樹は根が減っているので、土が乾くまでにいつもより時間がかかります。弱って葉の少ない樹も同じで、水を吸う力が落ちています。こうした樹に、元気なときと同じ感覚で毎日与えると、土が湿ったままになり根がさらに傷みます。
植え替え後や弱っているときほど、与える前に土の乾き具合を丁寧に確かめます。元気をつけようと肥料を足すのも逆効果で、根が回復して新しい芽が動き出すまでは控えます。
鉢の大きさや素材によっても乾き方は変わります。同じ棚に並べていても、小さな鉢や浅い鉢、素焼きの鉢は先に乾きます。乾きやすい鉢を棚の一か所に集めておくと、見落としが減ります。
見直しのチェックリスト
水やりで迷ったら、次の点を順に確かめてみてください。
- 与える前に、土の色か鉢の重さで乾き具合を確かめたか
- 鉢底から水が流れ出るまで与えたか
- 受け皿に水が残っていないか
- 雨の日でも、鉢の土まで濡れているか
- 夏は日中、冬は夕方を避けているか
ここを見直しても調子が戻らないときは、根詰まりや置き場所など、水やり以外の原因も考えられます。葉が黄色くなる、新芽が伸びないといった症状と原因は、こちらで説明しています。
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