盆栽の水やりの基本は、土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えることです。ただ、毎日続けていると「雨が降った日は?」「夜に気づいたら?」といった、基本だけでは決めにくい場面が出てきます。

ここでは、よく聞かれる疑問を場面ごとに取り上げます。乾き具合の見分け方や季節ごとの回数など、水やりの基本そのものは、こちらにまとめています。

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天気と時間帯の疑問

雨が降った日は、水やりをしなくてよい?

長く強い雨が降った日は、土の中まで湿っていることが多く、水やりは要らないこともあります。一方で、小雨やにわか雨では、葉や枝に遮られて土まで届かず、表面が濡れただけで中は乾いていることがよくあります。

雨の日に水やりが必要かの判断。長い雨や強い雨は土の中まで湿ることが多い。小雨やにわか雨は葉に遮られて土は乾いたままのことがある。どちらも雨の後に土の表面と鉢の重さを確かめる。軒下や葉が茂った樹、小さな鉢は乾いていることが多い
図:雨の日も、土と鉢の重さを見て決めます

雨の後は、土の表面を指で触り、鉢を持ち上げて重さを確かめます。軒下に置いた鉢、葉がよく茂った樹、小さな鉢は、雨の日でも乾いていることが多いので特に注意してください。

曇りの日はどうする?

曇りの日は乾きがゆっくりになるだけで、乾いていれば与えるという考え方は同じです。晴れの日と同じ時間に、同じように土を見て判断します。

朝と夕方、どちらがよい?

一年を通して、基本は朝です。日中に向けて樹が水を使う前に与えておけるからです。真夏は朝に加えて、夕方に乾いていればもう一度与えます。

水やりの時間帯。朝は一年を通して基本の時間で、冬は晴れた日の午前中。真夏の日中は水が温まり根に負担がかかるが、しおれたときは与えてよい。夕方は夏の2回目として乾いていれば与え、冬は避ける。夜は朝まで湿って蒸れやすいので、忘れた日だけにする
図:基本は朝。夏は夕方にもう一度見ます

夜に気づいたら、与えてもよい?

日中に乾いてしまい、夜に気づいた場合は、与えて構いません。翌朝まで水切れのまま置くほうが、樹への害は大きくなります。ただ、毎日夜に与える習慣にすると、土が湿ったまま朝を迎えて蒸れやすくなるので、普段は朝と夕方にしてください。

冬の夕方や夜の水やりは、鉢の中の水が夜のうちに凍る原因になるので避けます。冬は晴れた日の午前中に与えます。

真夏の昼に、しおれているのを見つけたら?

日中の暑い時間の水やりは、鉢の中で水が温まりやすく、普段は避けたい時間帯です。それでも、しおれているのを見つけたら、まず日陰に移してから、たっぷり与えてください。鉢ごと水を張ったバケツに数分沈めると、乾ききった土にも水が行き渡ります。

水についての疑問

水道水をそのまま使ってよい?

そのまま使って問題ありません。汲み置きにしなければならない、ということもありません。ただし、真夏に日なたに置いたホースの中の水は熱くなっているので、最初の水は鉢にかけず、冷たくなってから与えます。

雨水やお風呂の残り湯は?

雨水は使えますが、溜めておく容器にボウフラがわかないよう、ふたをするなどの管理が必要です。お風呂の残り湯は、入浴剤や石けんの成分が含まれることがあるので、盆栽には使わないでください。

冬に冷たい水を与えても大丈夫?

水道水の温度であれば問題ありません。温かいお湯にする必要もありません。凍るほど冷え込む日は、気温が上がってきた午前中に与えます。

鉢と樹の状態ごとの疑問

場面 判断の目安 気をつけたいこと
受け皿を使っている 流れ出た水はその都度捨てる 溜めたままにすると根が傷む
苔を張っている 苔のすき間の土の色を見る 苔が緑でも、下の土は乾いていることがある
花が咲いている 株元にそっと注ぐ 花に水をかけると傷みやすい
植え替え直後 乾いたらたっぷり 根が少ない分、乾かしすぎない
室内に飾っている 毎日土を見る 暖房や冷房で乾きが早くなる

受け皿に水を溜めておけば、長持ちする?

受け皿に水を溜めたままにすると、鉢の底がいつも水に浸かり、根が息をできずに傷みます。室内で受け皿を使うときは、流れ出た水をその都度捨ててください。旅行など留守の間に水を張っておく「腰水」は、数日だけの方法です。

苔を張った鉢は、苔が乾かなければ大丈夫?

苔は表面の水分で緑に見えていても、下の土が乾いていることがあります。苔のすき間から土の色を見るか、鉢の重さで判断します。苔そのものを保つには、夏の夕方に葉水と一緒に苔にも水をかけておくとよい状態が続きます。

霧吹きだけでは足りない?

霧吹きで葉や苔を湿らせる「葉水」は、葉の周りの温度を下げ、ハダニの予防にもなります。ただ、土の中までは水が届かないので、水やりの代わりにはなりません。土への水やりは、じょうろで鉢底から流れ出るまで与えます。

困ったときの疑問

水をかけても、土の表面を流れるだけで染み込まない

乾ききった土は水をはじきます。少し注いで染み込むのを待ち、もう一度注ぐ「2回がけ」にします。それでも染み込まないときは、鉢ごと水を張ったバケツに沈め、泡が出なくなるまで待ちます。

毎回のように染み込みにくい場合は、鉢の中が根でいっぱいになっていることも考えられます。植え替えの時期の見分け方は盆栽の植え替えの基本で説明しています。

注意

葉がしおれたからといって、湿った土にさらに水を足すのは逆効果です。土が湿っているのにしおれる場合は、水のやりすぎで根が傷んでいることがあります。土の状態を先に確かめてください。

水やりを1日忘れてしまった

気づいた時点で土を見て、乾いていればたっぷり与えます。葉がしおれていたら日陰で休ませます。翌日からは普段どおりに戻して構いません。一度に多く与えたり、続けて何度も与えたりする必要はありません。

液体肥料や活力剤を水に混ぜてよい?

液体肥料は、生長期の春と秋に、決められた倍率に薄めて水やりの代わりに与えられます。真夏と冬、植え替え直後、弱っている樹には与えません。肥料の使い分けは盆栽の肥料の入門にまとめています。

ポイント

どの場面でも、迷ったら「土の表面が乾いているか」に戻って判断します。乾いていれば鉢底から流れるまで、湿っていれば待つ。この二択で考えると、多くの疑問に答えが出ます。

留守にする日が多く、水やりの道具や仕組みを考えたいときは盆栽の自動水やりを、季節ごとの置き場所は盆栽の置き場所の決め方をご覧ください。

水やりでよくある失敗と、その直し方は、こちらでまとめています。

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