五葉松は、短い葉が5本ずつ束になって付く松で、白みを帯びた緑の葉と、落ち着いた枝ぶりが持ち味です。黒松のような力強さとは違い、穏やかで品のある姿になり、古くから盆栽で親しまれてきました。

一年中葉があり、手入れの回数も多くはありません。ただ、湿りすぎと蒸れに弱い面があるので、水やりは「しっかり乾いてから」が基本です。

五葉松の特徴

五葉松(ゴヨウマツ)は、日本の山地に自生する松です。葉は長さ数cmほどと短く、5本が1つの束になっています。盆栽では、葉がより短く詰まる系統や、芽吹きのよい品種が多く使われています。

黒松が日当たりと水を好んで勢いよく伸びるのに対し、五葉松は伸び方が穏やかで、やや乾燥気味の環境を好みます。そのため黒松で行う「芽切り」(夏に新芽を切って二番芽を出させる作業)は、五葉松では基本的に行いません。春の「みどり摘み」で伸びを調整します。黒松の管理と比べたいときは、こちらを参考にしてください。

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置き場所

一年を通して、日当たりと風通しのよい屋外に置きます。日に当たらないと葉が長く伸び、色も悪くなります。

夏は、高温と湿気がこもると根や葉が弱ります。午後の西日が強く当たる場所や、風の通らない壁際は避け、棚の上で風通しを確保します。真夏だけは、午後に日陰になる場所に移すか、すだれで日差しを和らげると安心です。

冬は寒さに強く、屋外で越せます。ただし小さな鉢は凍りやすいので、冷たい北風の当たらない軒下などに移します。室内に飾るのは2〜3日を目安にします。

水やり

五葉松は、土がいつも湿っている状態を嫌います。土の表面が乾いて白っぽくなり、さらに少し時間をおいてから、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。

季節 水やりの目安 気をつけたいこと
春(3〜5月) 乾いたら。1日1回程度 新芽が伸びる時期は乾きが早くなる
梅雨 乾いたときだけ 雨が続くときは鉢を軒下へ
夏(7〜9月上旬) 朝に1回。夕方も乾いていればもう1回 小さな鉢は水切れに注意
秋(9月中旬〜11月) 乾いたら。1〜2日に1回程度 涼しくなったら間隔をあける
冬(12〜2月) 乾いていれば3〜4日に1回程度 晴れた日の午前中に与える

乾かし気味といっても、水切れさせてよいわけではありません。夏に鉢が完全に乾ききると、葉先から茶色くなって回復に時間がかかります。表面が乾いたかどうかの見分け方は、こちらで説明しています。

あわせて読みたい盆栽の水やり|乾いたかの見分け方と、季節ごとの回数・時間帯の目安記事を読む ›

ポイント

葉が長く伸びてしまう原因の多くは、水と肥料の与えすぎ、または日照不足です。葉を短く締めたいときは、まず日当たりと水やりの間隔を見直します。

肥料

肥料は、みどり摘みが終わって新しい葉が固まり始める5月から6月ごろまでと、9〜10月に、ゆっくり効く固形の肥料を鉢の縁に置きます。真夏と冬は与えません。

肥料を多く与えると、葉が長くなり、枝も太く伸びて樹形が粗くなります。形のできた樹は控えめに、これから枝を伸ばして太らせたい若い樹はやや多めに、と樹の段階で加減します。

みどり摘み(4月下旬〜5月)

春、枝先から伸びるろうそくのような新芽を「みどり」と呼びます。みどりをそのまま伸ばすと、勢いの強い芽ばかりが長くなり、樹の形が崩れます。

五葉松のみどり摘みの3段階。強く伸びたみどりと弱いみどりがある、強いみどりは葉が開く前に半分ほどを指でつまんで折り、弱い芽はそのまま残す、伸びがそろい葉が短く締まる
図:強いみどりだけ半分ほど摘み、弱いみどりは残します

  1. みどりが伸びて、葉が開き始める前のころを待つ
  2. 勢いよく長く伸びたみどりは、半分ほどを指でつまんで折り取る
  3. 中くらいのみどりは3分の1ほど、短く弱いみどりは摘まずに残す

樹の上のほうや外側ほどみどりの勢いが強いので、そこから先に摘み、下や内側の弱い芽は数日遅らせるか残します。はさみで切ると切り口の葉が茶色くなるので、指で折り取ります。

古葉取りと剪定(10〜2月)

古葉取り(11〜12月)

五葉松の葉は数年枝に残りますが、古い葉が増えると枝の内側に日が当たらず、風も通りにくくなります。秋から冬に、枝の元のほうに残っている前年より古い葉を、指やピンセットで下に引いて抜きます。

五葉松の古葉取り。枝の元のほうに残る古い葉を抜き、その年に伸びた葉を残すと、枝の内側まで日と風が通り芽が育ちやすくなる
図:古い葉を抜くと、枝の内側まで日と風が通ります

剪定と針金かけ

枝の形を整える剪定と針金かけは、樹の動きがゆっくりになる10月から2月ごろに行います。混み合った枝、真上や真下に伸びる枝、ほかの枝と交差する枝を元から切ります。

松の枝は、葉の付いていない部分まで切り戻すと、そこから芽が出ずに枯れ込むことがあります。切るときは、必ず葉や芽の残っているところで切ります。針金は、枝に食い込む前に、半年から1年ほどを目安に外します。作業の基本は剪定・芽摘み・針金かけ入門にまとめています。

植え替え

植え替えは、芽が動き出す3月中旬〜4月中旬が適期です。根の伸びは穏やかなので、小さな鉢で2〜3年に1回、大きな鉢では3〜5年に1回が目安です。

用土は、赤玉土に桐生砂や軽石などを混ぜて、水はけをよくします。松の根には、根の働きを助ける白い菌糸(菌根菌)が付いていることが多いので、古い土をすべて落とさず、3分の1ほどを残して植え替えます。根を一度に大きく切りすぎないことも大切です。

注意

植え替え後に肥料をすぐ与えると、切った根を傷めます。肥料は植え替えから1か月ほどたち、新しい芽が動き出してからにします。

一年の作業カレンダー

関東の平地を想定した目安です。

五葉松の年間作業カレンダー。植え替えは3月中旬〜4月中旬、みどり摘みは4月下旬〜5月、肥料は5〜6月と9〜10月、夏は西日を避ける、剪定と針金かけは10〜2月、古葉取りは11〜12月
図:五葉松の一年の作業(関東の平地の目安)

気をつけたい害虫と不調

  • 枝や葉の付け根に白い綿や粒が付く:カイガラムシです。風通しの悪い場所で増えやすく、歯ブラシなどでこすり落とします。
  • 新芽や葉のすき間に小さな虫がいる:松につくアブラムシです。放っておくと、その排せつ物で葉が黒くすすけたようになります。
  • 葉の色が全体に黄色っぽい:水のやりすぎ、日照不足、根詰まりが考えられます。土がいつまでも乾かないなら、置き場所と水やりの間隔を見直します。
  • 秋に内側の古い葉が茶色くなって落ちる:古い葉が自然に落ちているもので、心配はいりません。

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