サルスベリは、梅雨明けから秋の初めにかけて、枝先に縮れた花びらの花を房のように咲かせる樹です。花の時期が長いことから「百日紅」とも書かれます。花の少ない真夏に咲くので、盆栽の棚の中でもよく目立ちます。

もう一つの見どころが樹肌です。古い樹皮が薄くはがれ落ち、下からなめらかな幹が現れます。「猿も滑る」ほどつるつるしていることが名前の由来とされ、葉が落ちた冬にも幹の姿を楽しめます。

サルスベリの盆栽の特徴

サルスベリは中国南部が原産の落葉樹で、日本でも庭木や公園の木として広く植えられています。花の色は紅、桃色、白、紫などがあり、盆栽では小ぶりに育つ矮性の品種もよく使われます。

見どころ 時期 見るところ
花 7〜9月ごろ 枝先に房のように咲く縮れた花
新芽 5月ごろ 赤みを帯びた新しい葉
紅葉 10〜11月 品種によって赤や黄色に色づく
樹肌 一年中(特に冬) 樹皮がはがれた、まだら模様のなめらかな幹

選ぶときに見るところ

サルスベリの盆栽を選ぶときは、花の色だけでなく、次のような点も見ておくと長く楽しめます。

  • 幹の模様:樹皮がはがれた跡のまだら模様が出ているか。幹が太いほど模様がはっきりします。
  • 根張り:根元から四方に根が張っていると、安定感のある姿になります。
  • 枝の数:花は枝先に咲くので、枝数が多い樹ほど花の数も多くなります。
  • 買う時期:夏に花のついた樹を選ぶと花の色が確かめられ、冬に選ぶと枝ぶりと樹肌がよく見えます。

置き場所

サルスベリは日当たりを好み、暑さにも強い樹です。春から秋まで、よく日の当たる屋外の棚に置きます。日照が足りないと枝が細く伸びて、花が咲かなかったり、花の数が減ったりします。

もみじのように夏の午後に日陰へ移す必要は、基本的にありません。ただし小さな鉢は真夏に鉢の中が熱くなりやすいので、コンクリートの上に直接置かず、棚に載せて照り返しを避けます。

冬は葉を落として休眠します。寒さには比較的強い樹ですが、小さな鉢は土ごと凍ると根が傷むので、冷たい北風の当たらない軒下などに移します。

水やりと肥料

水やり

サルスベリは水を好みます。土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。

花の時期と重なる真夏は、葉の量も多く、乾きがとても早くなります。朝に与えても夕方には乾いていることが多いので、朝夕の2回を基本にします。花の時期に水切れさせると、つぼみが落ちたり、花が早く終わったりします。

落葉後の冬は乾きがゆっくりになるので、乾いたのを確かめてから晴れた日の午前中に与えます。

肥料

芽吹いて葉が開いた5月ごろから、花が咲き始める前の7月上旬までと、花が終わった9月下旬〜10月に、ゆっくり効く固形の肥料を鉢の縁に置きます。

花の時期の真夏と、冬は与えません。窒素の多い肥料ばかりを与えると、枝葉はよく伸びても花が少なくなることがあります。

花が咲く枝と剪定

花はその年に伸びた枝に咲く

サルスベリは、春に伸びた新しい枝の先に、その年の夏に花を咲かせます。冬の間に枝を切り戻しても、春に出る新しい枝に花がつくので、剪定で花芽を落としてしまう心配が少ない樹です。

サルスベリの剪定の図。冬に前年の枝を2〜3芽残して切り戻すと、春に新しい枝が伸び、夏にその枝先に花が咲く
図:冬に切り戻した枝から伸びた新しい枝の先に、夏の花が咲きます

剪定の時期

  • 落葉後〜3月(休眠期。2〜3月が適期):形を整える主な剪定です。その年に伸びた枝を、根元から2〜3芽を残して切り戻します。混み合った枝、内向きの枝、真上に勢いよく伸びる枝は元から切ります。
  • 花が終わった房(花がら切り):花が終わった房は、その都度すぐ下で切ります。種をつくるための体力を使わずに済み、脇から伸びた枝に二番花が咲きます。9月以降に咲き終わった房は、そのままで構いません。

毎年同じ位置で切り戻すと、その部分がこぶのように膨らんできます。こぶを目立たせたくないときは、ときどき切る位置を一つ下の芽に変えます。

花を長く咲かせるための剪定のこつや、花後の手入れは、こちらで詳しく説明しています。

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樹肌を楽しむために

サルスベリの樹皮は、幹が太るにつれて自然にはがれ落ちます。はがれかけた樹皮を手で無理にむくと、まだ育ちきっていない下の層が傷むので、自然に落ちるのを待ちます。

  • 幹に苔をびっしり付けると、樹肌の模様が隠れてしまいます。根元の土の上だけにとどめます。
  • 幹のまわりの枝や葉が混み合っていると、幹に日が当たらず、黒っぽく汚れたように見えることがあります。枝を整理して風と光を通します。
  • 幹や枝に黒いすすのような汚れが広がるときは、後で説明するカイガラムシが原因になっていることがあります。

植え替え

サルスベリは芽吹きが遅い樹で、ほかの雑木が葉を広げる4月になっても、まだ芽が固いことがよくあります。植え替えは、芽が膨らみはじめる4月ごろ、十分に暖かくなってから行います。寒い時期に根を切ると、回復に時間がかかります。

小さな鉢は1〜2年に1回、中くらいの鉢は2〜3年に1回が目安です。用土は赤玉土の小粒を主体にしたもので構いません。手順は、こちらで説明しています。

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注意

春になっても芽が出ないと枯れたように見えますが、サルスベリはもともと芽吹きが遅い樹です。枝先を爪で軽くこすって、中が緑色なら生きています。5月ごろまで様子を見てください。

一年の作業

サルスベリの盆栽の年間作業カレンダー。剪定は落葉後〜3月で2〜3月が適期、植え替えは4月、肥料は5月〜7月上旬と9月下旬〜10月、花は7〜9月、うどんこ病に注意するのは6〜9月
図:サルスベリの一年の作業(関東の平地の目安)

気をつけたい病害虫

  • うどんこ病:葉や新しい枝、つぼみが白い粉をまぶしたようになる病気です。梅雨から秋にかけて、風通しの悪い場所で出やすくなります。病気の葉は取り除き、広がるときは園芸用の殺菌剤を使います。
  • アブラムシ:春から初夏にかけて、新しい枝の先に集まります。数が少なければ手で取り除きます。
  • カイガラムシ:幹や枝の分かれ目に、白い綿のような粒が付きます。虫の排せつ物に黒いカビが生える「すす病」が出て、幹が黒く汚れる原因になります。歯ブラシでこすり落とし、冬の間に幹を点検しておくと増えにくくなります。

夏に咲く花木は、サルスベリのほかにもあります。花を楽しむ樹を比べたいときは花を楽しむ盆栽の選び方をご覧ください。