もみじは、春に赤みを帯びた新芽が開き、夏は涼しげな青葉、秋に紅葉し、冬は葉を落とした細かな枝ぶりが見どころになる樹です。雑木盆栽の代表で、小さな鉢でも季節の移り変わりがよく分かります。
丈夫な樹ですが、葉が薄いため夏の強い日差しと水切れには弱い面があります。この二つに気をつけるだけで、秋の葉の状態がかなり変わります。
もみじの盆栽の特徴
盆栽でよく使われるのは、山に自生するヤマモミジや、葉の切れ込みが深く小ぶりなイロハモミジです。春から葉が赤い野村もみじなど、園芸品種もあります。品種の違いは山もみじと野村もみじの比較で紹介しています。
なお、盆栽で「カエデ」と呼ばれることの多いトウカエデは、葉が3つに分かれた形で、もみじとは別の種類です。育て方はよく似ていますが、トウカエデのほうが樹勢が強く、根も太くなりやすい傾向があります。
名前・樹形図鑑懸崖・文人木・出猩々など、盆栽の名前と樹形の意味図と、その樹形の掲載商品 ›置き場所
春と秋は、日当たりと風通しのよい屋外の棚に置きます。日によく当てると葉が小さく締まり、枝も充実します。
夏は、午前中に日が当たり午後は日陰になる場所が向いています。西日やコンクリートの照り返しが強い場所では、葉の縁から茶色く焼けてしまいます。そうした場所しかない場合は、遮光ネットやすだれで日差しを和らげます。
図:夏は「午前は日なた、午後は日陰」。西日と照り返しを避けます
冬は落葉して休眠するので、寒さに当てたまま屋外で管理して構いません。ただし小さな鉢は土ごと凍りやすいので、冷たい北風の当たらない軒下などに移します。置き場所全般の考え方は、こちらにまとめています。
あわせて読みたい盆栽の置き場所|日当たり・風通しの考え方と、季節ごとの移し方の目安記事を読む ›水やり
もみじは水を好む樹です。土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。
春から秋の生長期は1日1回が目安で、真夏は朝に与えても夕方に乾いていることが多いため、朝夕の2回になる日もあります。夏の夕方に葉にも水をかけておくと、葉の周りの温度が下がり、ハダニの予防にもなります。
落葉後の冬は乾きがゆっくりになるので、乾いたのを確かめてから晴れた日の午前中に与えます。乾き具合の見分け方は、こちらで詳しく説明しています。
あわせて読みたい盆栽の水やり|乾いたかの見分け方と、季節ごとの回数・時間帯の目安記事を読む ›注意
真夏に一度でも水切れさせると、葉先がチリチリに枯れ込み、その葉は秋になっても元に戻りません。夏の間は、出かける前と帰宅後に鉢を見るくらいの気持ちでいると安心です。
肥料
肥料は、春に新しい葉が開ききって落ち着いたころ(関東では4月下旬〜5月ごろ)から梅雨前までと、暑さがやわらぐ9月中旬〜10月に、ゆっくり効く固形の肥料を鉢の縁に置きます。
真夏と冬は与えません。もみじは肥料を多く与えると枝が太く長く伸び、節の間が間延びして樹形が粗くなります。秋遅くまで肥料が効いていると、紅葉の色が冴えにくくなることもあります。小さな鉢の樹は、控えめなくらいがちょうどよいです。
芽摘み・剪定・葉刈り
芽摘み(4〜5月)
春に伸びてくる新しい芽は、中心から次々に葉を重ねて伸びていきます。最初の1〜2対の葉が開いたところで、その先の芽を指先やピンセットで摘むと、枝の節の間が詰まり、細かい枝ができやすくなります。
図:芽摘みは、最初の1〜2対の葉を残して、その先を摘みます
すべての芽を摘むと樹が弱るので、伸ばしたい枝の芽は残します。
剪定(落葉後〜2月、6月ごろ)
枝の形を整える剪定は、葉が落ちて枝の流れが見やすくなる11月下旬〜2月ごろに行います。混み合った枝、内側に向かう枝、上下に重なる枝を元から切り、残す枝は2〜3節を目安に切り戻します。
もみじは芽が動き出す直前から春先にかけて、切り口から樹液が出やすくなります。太い枝を切るのは、遅くとも2月までに済ませておくのが無難です。切り口が大きいときは、癒合剤を塗っておきます。
初夏の6月ごろには、勢いよく長く伸びた枝を軽く切り戻して、全体の形を保ちます。剪定の基本は剪定のガイドも参考にしてください。
葉刈り(6月ごろ)
葉を切って二番芽を出させ、葉を小さくそろえる作業です。樹に体力が必要なので、元気な樹にだけ行います。はじめの数年は無理に行わなくても問題ありません。
植え替え
植え替えは、芽が膨らみ始める2月下旬〜3月中旬が適期です。小さな鉢は1〜2年に1回、中くらいの鉢は2〜3年に1回が目安で、鉢底から根が出ている、水がなかなか染み込まないといった様子が見えたら時期です。
用土は、小粒の赤玉土を主体にしたものが扱いやすく、水はけと水持ちのバランスがとれます。古い土を3分の1ほど落とし、長すぎる根や傷んだ根を切ってから新しい土に植えます。
植え替えた後の2週間ほどは、強い日差しと風を避けた明るい場所で管理します。手順は植え替えのガイドで詳しく説明しています。
一年の作業カレンダー
関東の平地を想定した目安です。寒い地域では春の作業を2〜3週間遅らせ、冬の作業を早めます。
図:もみじの一年の作業(関東の平地の目安)
| 時期 | 樹の様子 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 3月 | 芽が膨らむ | 植え替え。遅霜に注意 |
| 4〜5月 | 芽吹き・新葉が開く | 芽摘み。葉が開ききったら肥料を始める。アブラムシの確認 |
| 6月 | 葉が固まる | 伸びすぎた枝の切り戻し。元気な樹は葉刈り |
| 7〜8月 | 夏の暑さ | 午後の日差しを避ける。水切れ防止。肥料は休む |
| 9〜10月 | 秋の生長 | 日当たりのよい場所へ戻す。肥料を再開し、10月で終える |
| 11〜12月 | 紅葉・落葉 | 紅葉を楽しむ。落葉後に枝の剪定を始める |
| 1〜2月 | 休眠 | 枝の剪定と整理。鉢土の凍結を防ぐ |
葉の様子で分かる不調と害虫
- 葉の縁や先が茶色く縮れる:水切れか、夏の日差しによる葉焼けが考えられます。置き場所と水やりを見直します。
- 新芽や葉の裏に小さな虫が集まる:春先に多いアブラムシです。数が少なければ手で取り除き、多い場合は園芸用の殺虫剤を使います。
- 葉に白い粉をまぶしたような跡がある:うどんこ病です。風通しの悪い場所で出やすく、病気の葉は取り除きます。
- 葉の色がかすれたように白っぽくなる:葉の裏につくハダニの可能性があります。夏の乾燥期に増えやすいので、葉水で予防します。
- 幹の根元に木くずのようなものが出ている:カミキリムシの幼虫が幹に入っているサインです。放っておくと枯れることがあるので、見つけたら早めに対処します。
紅葉をきれいに見るために
もみじの紅葉は、秋に日がよく当たること、昼と夜の気温差があること、そして夏の間に葉を傷めていないことが大きく影響します。夏に葉焼けや水切れで傷んだ葉は、秋にきれいに色づきません。

写真:Ronald Douglas Frazier / CC BY 2.0
街中やベランダでは夜の気温が下がりにくく、山の紅葉ほど鮮やかにならないこともあります。それでも、秋に日当たりのよい場所へ戻し、肥料を10月までに切り上げておくと、色づきは安定しやすくなります。
季節の目安
関東の平地では、もみじの盆栽が色づくのは11月中旬から12月初めごろです。寒い地域ほど早く、暖かい地域ほど遅くなります。
紅葉する樹はもみじだけではありません。欅なども含めて比べたいときは紅葉を楽しむ盆栽の選び方を、もみじの盆栽を探すときはもみじの盆栽一覧をご覧ください。
