ガジュマルは、沖縄や東南アジアなど暖かい地域に自生するイチジクの仲間です。ぷっくり太った根元と、幹や枝から垂れ下がる気根(空中に出る根)が見どころで、盆栽の中では室内で育てやすい数少ない樹種です。

松やもみじのように冬の寒さに当てる必要がないぶん、管理の中心は「明るさ」と「冬の温度」の二つになります。この二つを押さえれば、初めてでも長く楽しめます。

ガジュマルの特徴

ガジュマルは常緑の樹で、厚みのある丸い葉が一年中ついています。生長が早く、春から秋にかけて枝がよく伸びるので、剪定で形を作りやすい樹です。

市販のガジュマルには、大きく分けて二つの姿があります。

  • 根が太った「株立ち・まる根」タイプ:挿し木や実生で育てた苗の根を太らせたもので、根元がかぶのように膨らんでいます。観葉植物として売られていることも多い形です。
  • 気根を下ろした盆栽らしいタイプ:枝から下りた気根が地面に届いて太り、何本もの幹が立っているように見える仕立てです。沖縄の大きなガジュマルの木を小さくしたような姿になります。

置き場所

春〜秋は明るい場所に

ガジュマルは日陰にも耐えますが、本来は日当たりを好みます。室内では、レースカーテン越しに光が入る窓辺が基本の置き場所です。部屋の奥に置くと、枝が間延びして葉が落ちやすくなります。

5月〜9月の暖かい時期は、ベランダや庭で育てると葉が締まり、枝も丈夫になります。ただし室内にあった樹をいきなり直射日光に当てると葉焼けするので、最初の1週間ほどは明るい日陰に置き、少しずつ日なたに慣らします。

室内で気をつけること

  • エアコンの風:冷房・暖房の風が直接当たると、葉が乾いて落ちます。風の向きから外れた位置に置きます。
  • 冬の窓際:昼は明るくても、夜は窓ガラスの近くが外と同じくらい冷え込みます。冬の夜は窓から離すか、厚手のカーテンの内側に入れます。
  • 鉢の向き:光の来る方向に枝が伸びるので、1〜2週間に一度、鉢を回して全体に光を当てます。

室内でのガジュマルの置き場所の図。レースカーテン越しの窓辺がよい。エアコンの風が当たる場所と部屋の奥の暗い場所は避け、冬の夜は窓から離す
図:窓辺の明るい場所に。エアコンの風と、冬の夜の窓際は避けます

窓からの距離や方角ごとの明るさの違いは、こちらで説明しています。

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水やり

土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。受け皿にたまった水は、根腐れの原因になるので捨てます。

季節 水やりの目安 気をつけること
春(4〜5月) 表面が乾いたらたっぷり 生長が始まり、乾きが早くなる
夏(6〜9月) 乾きやすく、ほぼ毎日 屋外では朝に。葉にも水をかける
秋(10〜11月) 乾き具合を見て少しずつ間隔をあける 気温が下がると乾きが遅くなる
冬(12〜3月) 表面が乾いて2〜3日たってから 暖かい日の午前中に、室温に近い水を

冬は生長がほぼ止まるので、春と同じ調子で与えると土がいつも湿った状態になり、根が傷みます。冬に葉が落ちたり、幹の根元が柔らかくなったりしたら、水の与えすぎを疑います。

エアコンで乾燥する室内では、霧吹きで葉に水をかけると葉の乾燥を防げ、ハダニの予防にもなります。乾き具合の見分け方は、こちらで詳しく説明しています。

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肥料

肥料は、生長期の5月〜9月に与えます。ゆっくり効く固形の肥料を月に1回ほど鉢の縁に置くか、薄めた液体肥料を2週間に1回ほど与えます。

気温が下がる10月以降と冬は与えません。生長が止まった時期に肥料を与えても吸われずに土に残り、根を傷めることがあります。植え替え直後の2週間ほども控えます。

冬越し

ガジュマルは寒さに弱く、最低気温が5℃を下回ると葉が傷み始めます。10月下旬ごろ、夜の気温が10℃を切るようになったら屋外の樹は室内に取り込みます。

注意

冬に一番多い失敗は、暖房を切った夜の窓際での冷えです。日中に置いていた窓辺から、夜だけ部屋の中央寄りに移すと安心です。暖房の風が当たる場所も、乾燥で葉が落ちるので避けます。

冬に何枚か葉が落ちるのは珍しくありません。枝を少し曲げてみて、しなやかで中が緑色なら生きているので、春になれば新しい芽が出てきます。

剪定

剪定は、生長が盛んな5月〜7月が適期です。伸びすぎた枝を2〜3枚の葉を残して切り戻すと、切ったところから新しい枝が出て、葉の密度が上がります。

  • 樹の内側に向かう枝、ほかの枝と交差する枝は元から切ります。
  • 上の方の枝ほど勢いが強いので、上は短めに、下の枝は長めに残します。
  • 葉が大きくなりすぎた樹は、6月ごろに葉を半分ほど切り取る「葉刈り」をすると、次に出る葉が小さくそろいます。元気な樹だけに行います。

切り口からは白い樹液が出ます。肌に付くとかぶれることがあるので、作業中は手袋をし、付いたら水で洗い流します。床や家具に付くと落ちにくいので、新聞紙を敷いてから作業します。

植え替え

植え替えは、気温が十分に上がった5〜6月に行います。小さな鉢は2年に1回、大きめの鉢は2〜3年に1回が目安で、水が染み込みにくい、鉢底から根が出ているといった様子が見えたら時期です。

用土は、赤玉土の小粒を主体にした水はけのよい土が向いています。観葉植物用の培養土でも育ちますが、盆栽鉢のような浅い鉢では、粒の残る土のほうが根腐れしにくくなります。手順は、こちらで詳しく説明しています。

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一年の作業

ガジュマルの年間作業カレンダー。屋外に出せるのは5〜9月、室内は10月下旬〜4月。剪定は5〜7月、植え替えは5〜6月、肥料は5〜9月、冬越しの温度管理は11〜3月
図:ガジュマルの一年の作業(関東の平地の目安)

根や気根を見せる仕立て方

ガジュマルらしさが出るのは、太い根と、枝から下りる気根です。気根は湿度が高いときに出やすく、乾いた室内ではあまり伸びません。

  1. 枝から出た気根は切らずに残します。
  2. 鉢の上の空気を湿らせるため、夏の間は屋外の明るい日陰に置き、朝夕に葉や気根に水をかけます。
  3. 気根の先が土に届くと、その気根は太りはじめ、やがて幹のような支えになります。届かない気根は、ストローほどの細い管に土を詰めて先を差し込み、土まで誘導する方法もあります。

根元を太らせて見せたいときは、植え替えのたびに少しずつ根を土の上に出していきます。一度に大きく出すと根が乾いて傷むので、1回の植え替えで1〜2cmほどが目安です。

苔玉のような丸い土の上に、太った根を見せて植えられた2鉢のガジュマル
写真:gergelyhideg / CC BY 2.0

葉の様子で分かる不調

  • 葉が次々に黄色くなって落ちる:日照不足か、冬の冷え、水のやりすぎが考えられます。置き場所を移した直後にも起こりますが、環境に慣れると止まります。
  • 葉の縁や表面が茶色く焼ける:急に強い日差しに当てた葉焼けです。屋外に出すときは日陰から少しずつ慣らします。
  • 葉の色がかすれたように白っぽい:葉の裏につくハダニです。乾燥した室内で増えやすいので、葉水で予防します。
  • 枝や葉の付け根に白や茶色の粒が付いている:カイガラムシです。歯ブラシなどでこすり落とし、数が多ければ園芸用の殺虫剤を使います。

室内に置ける樹はガジュマルのほかにもあります。部屋で楽しめる樹を比べたいときは室内に置きやすい盆栽の選び方を、ガジュマルを探すときはガジュマルの盆栽一覧をご覧ください。