室内に置いた盆栽が、しばらくすると枝がひょろひょろ伸びたり、葉が落ちたりしてしまうことがあります。水やりも肥料も気をつけているのに弱ってしまう場合、原因の多くは「室内という置き場所」そのものにあります。
松やもみじ、梅など、盆栽によく使われる樹の多くは屋外で育つ植物です。ここでは、室内でうまく育たない理由を4つに分けて説明し、見直し方と、室内でも育てやすい樹種をまとめます。
うまく育たない4つの理由
図:室内でうまく育たない4つの理由
光が足りない
いちばん大きな理由は光です。窓辺は明るく感じますが、屋外の日なたに比べると、植物が受け取る光はずっと少なくなります。部屋の奥になると、さらに暗くなります。
光が足りないと、枝が細く長く伸び(徒長)、葉と葉の間隔が広がります。葉の色も薄くなり、松などは葉が長く伸びて締まりのない姿になります。
風が通らない
屋外では、風が葉の周りの湿気を運び去り、鉢の土を適度に乾かしてくれます。室内で空気が動かないと、葉が蒸れて病気が出やすくなり、カイガラムシやハダニなどの害虫もつきやすくなります。
乾き方が変わる
冷暖房の効いた部屋は空気が乾いていて、エアコンの風が当たると葉が短時間で乾いて傷みます。反対に、光が弱く風もない場所では土がなかなか乾かず、いつも湿ったままになって根が弱ることがあります。屋外と同じ感覚で水をやると、どちらにも転びやすいのが室内の難しさです。
冬の寒さがない
もみじや欅、梅などの落葉樹は、冬に寒さに当たることで休眠し、春にそろって芽吹きます。暖房の効いた室内で冬を越すと、休眠がうまく取れず、春の芽吹きが乱れたり、樹が弱ったりします。
葉や枝に出るサインと原因
| サイン | 考えられる原因 | 見直すこと |
|---|---|---|
| 枝が細く長く伸び、葉の間隔が広い | 光不足 | 窓辺に移す。屋外に出す時間を作る |
| 葉の色が薄い・黄色っぽい | 光不足、水のやりすぎ | 置き場所と、土の乾き具合を確かめる |
| 葉先が茶色く縮れる | 冷暖房の風、乾燥、水切れ | 風の当たらない場所に移し、乾き具合を毎日見る |
| 葉が次々に落ちる | 急な環境の変化、冷暖房の風、光不足 | 置き場所を見直し、しばらく動かさない |
| 葉の裏に白い粉や小さな虫がいる | 風通しの悪さ | 虫を取り除き、風の通る場所に移す |
| 土がいつまでも乾かない | 光と風の不足、根詰まり | 水やりの間隔をあけ、明るい場所に移す |
注意
弱ってきたからといって、肥料を足すのは避けます。光が足りないまま肥料を与えると、かえって徒長が進んだり、根を傷めたりします。まず置き場所を見直してください。
室内での置き方
室内に置く場合は、できるだけ明るい窓辺を選びます。レースのカーテン越しでも、部屋の奥よりはずっと明るくなります。
図:明るい窓辺に置き、部屋の奥や冷暖房の風が当たる場所は避けます
- 窓辺に置く:南向きや東向きの窓辺が明るく使いやすい場所です。夏の西日がガラス越しに当たる場所は、葉焼けに気をつけます。
- 鉢の向きを時々変える:光は窓の方からしか来ないので、樹が窓の方へ傾いて伸びます。数日おきに鉢を回すと、形がくずれにくくなります。
- 冷暖房の風を避ける:エアコンの風が直接当たる場所や、暖房器具の近くには置きません。
- 窓を開けて空気を入れ替える:天気のよい日は窓を開け、空気を動かします。
植物用ライトを使うとき
窓辺の光が足りない場合は、植物の育成用のLEDライトで光を補う方法があります。照らす時間を決めてタイマーで点けたり消したりすると、毎日同じ明るさを保てます。ライトは近すぎると葉が熱で傷むことがあるので、製品の説明にある距離を守ります。
ただ、ライトがあっても、温帯の樹に屋外と同じ条件を作るのは難しいことです。ライトは「室内に置く期間を少しでも楽にするもの」と考えておくと失敗が少なくなります。

写真:Miss Molly G. Willikers / CC BY 2.0
光と配置の関係をもっと詳しく知りたい場合は、室内盆栽の配置と樹種選択も参考になります。
室内での水やり
室内では、屋外より土の乾き方がゆっくりになることが多く、毎日決まった時間に水をやると過湿になりがちです。回数で決めず、土の表面が乾いて白っぽくなったのを確かめてから、鉢底から流れ出るまで与えます。
水やりは、できれば屋外やベランダ、浴室など、水が流れてもよい場所に鉢を移して行います。受け皿に水がたまったままにすると、根が傷む原因になるので、流れ出た水は捨てます。
冷暖房の効いた部屋では空気が乾くので、葉に霧吹きで水をかける「葉水」も役立ちます。ただし、葉水は土への水やりの代わりにはなりません。
屋外を基本にして、室内に飾る
松やもみじ、梅などの樹を室内で楽しみたいときは、ふだんは屋外で育て、来客や季節の行事に合わせて数日だけ室内に飾る方法が確実です。
- ふだんは日当たりと風通しのよい屋外の棚に置く
- 飾りたい日に室内に取り込み、明るい場所に置く
- 数日たったら屋外の元の場所に戻す
- 次に室内に取り込むまで、屋外で十分に日に当てる
季節の目安
真夏や真冬は、冷暖房の効いた部屋と屋外の温度差が大きくなります。取り込むときも戻すときも、気温が穏やかな時間帯を選ぶと樹の負担が少なくなります。
屋外での置き場所の決め方は、こちらで詳しく説明しています。
あわせて読みたい盆栽の置き場所|日当たり・風通しの考え方と、季節ごとの移し方の目安記事を読む ›室内で育てやすい樹種
暖かい地域が原産の樹は、寒さに弱いぶん室内の環境になじみやすく、通年室内で育てやすい樹種です。
- ガジュマル:丈夫で、明るい室内でよく育ちます。冬は寒さに当てないよう室内で管理します。詳しくはガジュマル盆栽の育て方で説明しています。
- フィカス類(ガジュマルの仲間):ガジュマルと同じように室内向きです。
- シェフレラなどの観葉植物:盆栽風に仕立てたものが、室内で育てやすい鉢として選ばれます。
これらの樹種でも、春から秋の暖かい時期に、日の当たりすぎない屋外の場所に出すと、葉が締まって元気になります。室内向きの盆栽の選び方は、室内に置きやすい盆栽の選び方にまとめています。
日の当たりにくい場所で育てる工夫は、日当たりの悪い場所での育て方でも紹介しています。
