庭のないマンションやアパートでも、盆栽は十分に楽しめます。ただし、盆栽でよく使われる松やもみじ、梅などのほとんどは本来屋外で育つ樹で、室内に置きっぱなしにすると少しずつ弱っていきます。

住まいで盆栽を続けるこつは、「育てる場所」と「飾る場所」を分けて考えることです。ベランダで育てて室内には数日だけ飾るか、室内でも育つ樹を選んで窓辺に置くか。どちらにするかで、選ぶ樹種も管理の仕方も変わります。

育てる場所と飾る場所を分ける

屋外向きの樹は、日光と風、夜露、季節の寒暖差を受けて健康に育ちます。室内では光が足りず、空気も乾きやすいため、長く置くと枝がひょろ長く伸びたり、葉の色が薄くなったりします。

そこで、ふだんはベランダで育て、来客のときや花・紅葉の見頃に、室内へ2〜3日だけ飾って外へ戻す、という使い方をします。何鉢かあれば、順番に入れ替えて飾ることもできます。

屋外向きの樹は、ふだんはベランダで育て、室内には2〜3日飾ってから外へ戻す。ガジュマルなど室内向きの樹は明るい窓辺に置いたまま育てられる
図:屋外向きの樹は外で育て、室内には数日だけ飾ります

一方、ガジュマルやフィカスの仲間など、暖かい地域が原産の樹は、明るい窓辺であれば室内に置いたまま育てられます。ベランダが使えない住まいでは、こうした樹を選ぶのが現実的です。

樹の種類 例 育てる場所 室内に置ける期間
屋外向き 松、真柏、もみじ、欅、梅、皐月など ベランダ・庭 2〜3日を目安に外へ戻す
室内でも育つ ガジュマル、フィカスの仲間など 明るい窓辺 通年。ただし暗い場所は不可

室内での置き場所

室内に飾るときも、室内で育てるときも、置き場所の考え方は同じです。

室内での置き場所。レースのカーテン越しの明るい窓辺はよい。エアコンの風が当たる場所、テレビや家電の上、窓から離れた部屋の奥は避ける
図:明るい窓辺に置き、エアコンの風と家電の熱は避けます

  • 明るい窓辺:レースのカーテン越しに光が入る南向きや東向きの窓辺が向いています。夏の直射日光がガラス越しに当たると葉が焼けることがあるので、カーテンで和らげます。
  • エアコンの風を避ける:冷房や暖房の風が直接当たると、葉や土が急に乾いて葉先が傷みます。風の通り道から外れた場所に置きます。
  • 家電の上や近くを避ける:テレビや冷蔵庫の上は熱がこもり、根が傷む原因になります。
  • 部屋の奥に長く置かない:窓から離れた場所は人の目には明るくても、樹にとっては光が足りません。

室内で育てる樹は、ときどき鉢を回して向きを変えると、光の当たる側だけに枝が伸びるのを防げます。春から秋の暖かい時期は、室内向きの樹もベランダの半日陰に出すと、葉がしっかりします。

室内での水やり

水やりの基本は屋外と同じで、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。室内では乾きがゆっくりになることが多いので、毎日決まって与えるのではなく、土の乾き具合を見て判断します。

室内で鉢に直接水を注ぐと、床や棚を汚しがちです。キッチンのシンクや浴室、ベランダに鉢を運んで水を与え、鉢底から水が切れてから元の場所に戻すと安心です。受け皿を使う場合は、溜まった水を必ず捨ててください。水が溜まったままだと根が傷み、虫の発生にもつながります。

注意

暖房の効いた冬の室内は、思った以上に空気が乾きます。葉に霧吹きで水をかけると乾燥を和らげられますが、葉水は土への水やりの代わりにはなりません。

ベランダで育てるときの注意

マンションのベランダは、庭とは違う条件がいくつかあります。

照り返しと熱

コンクリートの床は夏に高温になり、照り返しで鉢の中も熱くなります。床に直接置かず、棚やすのこの上に置いて、床から離します。手すりの壁が高く、下のほうは日が当たらないベランダも多いので、棚の上で日当たりを確かめます。

風と落下

高い階ほど風が強く、小さな鉢は倒れたり乾いたりしやすくなります。手すりの外側や手すりの上に鉢を置くのは落下の危険があるので避けます。台風の前には、鉢を床の低い位置や室内に移します。

共用部分としての決まり

マンションのベランダは、多くの場合「共用部分」で、管理規約で使い方が決められています。避難はしごの上や隣との仕切り板の前など、避難の妨げになる場所には物を置けません。水やりの水が下の階に落ちないよう、排水の向きにも気を配ります。

エアコンの室外機

室外機の前は、夏は熱風、冬は冷風が吹き出すので、盆栽を置くのには向きません。

ベランダでの日当たりや風通しの考え方は、こちらで詳しく説明しています。

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室内の台に飾られたフィカスの盆栽
写真:sammycrane / CC BY 2.0

室内向きの樹の冬の管理

ガジュマルなど暖かい地域の樹は、寒さに弱い面があります。冬の夜の窓辺は、昼間の明るさとは裏腹に外と同じくらい冷え込むことがあるので、夜は窓から少し離した部屋の内側に移すと安心です。

冬は生長がゆっくりになるので、水やりは土の中まで乾いたのを確かめてから与え、回数を減らします。肥料も春に暖かくなるまでは休みます。暖房の風が当たると、葉が急に落ちることがあるので、風の通り道からは外します。

住まいに合った樹種の選び方

  • ベランダがあり、日当たりもある:松柏類、雑木類、花ものなど、ほとんどの盆栽が楽しめます。室内には見頃の数日だけ飾ります。
  • ベランダはあるが、日当たりが半日ほど:もみじや欅など、夏の強い日差しが苦手な雑木類は向いています。花ものや実ものは花や実の付きが少なくなることがあります。
  • ベランダが使えない、またはほとんど日が当たらない:ガジュマルなど室内でも育つ樹を選び、いちばん明るい窓辺に置きます。

室内に置きやすい樹種の特徴は室内に置きやすい盆栽の選び方にまとめています。ガジュマルの管理については、こちらで説明しています。

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