寒椿(かんつばき)は、冬の寒い時期に紅色の八重の花を咲かせる常緑樹です。背が低く、枝が横に広がるように伸びるので、小さな鉢でもまとまった姿になります。花の少ない季節に、つやのある濃い緑の葉と赤い花を楽しめます。
寒椿の盆栽で押さえたいのは、剪定の時期です。夏には翌冬の花芽ができ始めるので、それより前に剪定を済ませます。ここでは、冬の花を毎年咲かせるための管理を、一年の流れに沿って説明します。
寒椿と椿・サザンカの違い
寒椿は、サザンカの仲間に含められることが多い園芸品種のグループで、「獅子頭(ししがしら)」という品種がよく知られています。
| 寒椿 | サザンカ | 椿 | |
|---|---|---|---|
| 花の時期 | 11月下旬〜2月ごろ | 10〜12月ごろ | 冬〜春(品種によって幅がある) |
| 花の散り方 | 花びらが1枚ずつ散る | 花びらが1枚ずつ散る | 花ごと落ちるものが多い |
| 樹の姿 | 背が低く、横に広がる | 上に伸びる | 上に伸びる |
育て方は椿やサザンカとよく似ています。椿の盆栽全般の管理は、こちらで詳しく説明しています。
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寒椿の盆栽は、つぼみをつけた秋から、花の咲いている冬に多く出回ります。
- つぼみの数と状態:丸くふくらんだつぼみが多く、色が茶色く変わっていないものを選びます。
- 葉の色とつや:濃い緑でつやのある葉が、枝の内側までついているかを見ます。葉が黄色い、内側の葉が落ちているものは、根が弱っていることがあります。
- 葉の裏:白や茶色の小さな粒(カイガラムシ)や、毛虫がいないかを確かめます。
買ってすぐの寒椿は、環境が変わったことでつぼみを落とすことがあります。家に着いたら、日当たりのよい軒下に置き、土の乾きをこまめに見てください。
置き場所
寒椿は、日当たりを好みながらも、強い日差しにはやや弱い樹です。春と秋は日当たりのよい屋外の棚に置き、真夏は午前中だけ日が当たり、午後は日陰になる場所に移します。夏の西日に当たると、葉が焼けて茶色くなります。
冬の花の時期は、冷たい北風と霜を避けた日当たりのよい軒下が向いています。花びらは寒風や霜に当たると、茶色く傷んでしまいます。
咲いた花を室内に飾るときは、明るく暖房の風が直接当たらない場所を選び、飾るのは数日にとどめます。暖かい部屋に長く置くと、つぼみが開かずに落ちることがあります。
水やりとつぼみ落ち
水やりは、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまで与えます。春と秋は1日1回、夏は朝夕の2回、冬は土の乾きを見て晴れた日の午前中に与えます。
寒椿は、つぼみがふくらむ秋から花の時期に水切れさせると、つぼみが茶色くなって落ちやすくなります。冬は乾きがゆっくりになりますが、晴れて風の強い日は思ったより早く乾くので、こまめに土を確かめてください。
注意
つぼみは、急な温度の変化でも落ちやすくなります。花の時期に室内と屋外を行き来させるときは、気温が穏やかな日中に移し、何度も出し入れしないようにします。
剪定は花後すぐに
寒椿は、春から伸びた枝の先に、7月ごろから翌冬の花芽をつくり始めます。夏以降に枝先を切ると、この花芽を一緒に落としてしまいます。
図:剪定は花が終わった直後に。夏以降は枝先を切らないようにします
- 花が終わった3月ごろ、咲き終わった花がらを取り除きます。
- 伸びすぎた枝を、葉を2〜3枚残して切り戻します。
- 内側に向かう枝、交差する枝、込み合った枝は付け根から切ります。
- 6月までなら、新しく伸びすぎた枝を軽く整えても構いません。
つぼみが多いときの整理
10月から11月ごろ、つぼみがはっきりふくらんできます。1か所にいくつもつぼみがついているときは、数を減らすと一つひとつの花が大きく咲き、つぼみ落ちも少なくなります。
図:1か所に1つ、大きいつぼみを残します
丸くふくらんだ大きなつぼみを1つ残し、残りは指でつまんで取ります。葉の芽と間違えないよう、つぼみは丸く、葉の芽は細くとがっていることを確かめてから摘みます。
肥料と植え替え
肥料は、花後の3月下旬〜4月と、9月に、ゆっくり効く固形の肥料を置きます。真夏と花の時期は与えません。
植え替えは、花が終わって新しい芽が動き出す前後の3月下旬〜4月が適期です。春にできなかったときは9月下旬にも行えます。寒椿などの椿の仲間は、やや酸性の土を好むので、赤玉土に鹿沼土を混ぜた土が向いています。2〜3年に1回、根が鉢に回ったら植え替えます。
一年の作業カレンダー
関東の平地を想定した目安です。
図:寒椿の一年の作業(関東の平地の目安)
気をつけたい病害虫
- チャドクガ:椿の仲間によくつく毛虫です。毛に触れると、かぶれてひどいかゆみが出ます。4月下旬〜6月と8月中旬〜9月ごろに、葉の裏に集まって葉を食べます。見つけたら、手袋をして枝ごと切り取り、袋に密閉して捨てます。
- カイガラムシ:枝や葉の裏に白や茶色の小さな粒がつきます。数が少なければ歯ブラシでこすり落とします。
- すす病:葉の表面が黒くすすけたようになります。カイガラムシやアブラムシの排せつ物が原因なので、まず虫を取り除きます。
ポイント
チャドクガは、毛虫がいなくなったあとの抜け殻や卵のかたまりにも毒のある毛が残ります。作業のときは長袖と手袋を着け、終わったら服をはたかずに洗濯してください。
椿の仲間の品種の違いを知りたいときはツバキの園芸品種のガイドを、冬から春に花を楽しむほかの樹種と比べたいときは花を楽しむ盆栽の選び方をご覧ください。
